高知市・築50年切妻の和型スレート|屋根に溜まった松の枯葉は雨漏りの前ぶれ?「全部除去」をご提案した理由
- 代表村山の現場ブログ
皆さんこんにちは。村山瓦の村山です。
今回は高知市のお客様から「屋根に枯葉が溜まっているので取ってほしい」とご相談をいただき、屋根の調査に伺ったときのお話です。
「枯葉くらいなら、雨が降れば流れていくんじゃないの?」——そう思われる方も多いと思います。ところが現場に上がってみると、枯葉は流れていくどころか、屋根の一番水が集まる場所にじっと居座っていることがほとんどです。今回の屋根もまさにそうでした。今は雨漏りしていなくても、なぜ「全部取りましょう」とご提案したのか。現場で見たこと・考えたことをそのままお伝えします。
今回の屋根の状態(高知市・築約50年・切妻・和型スレート)
まずは調査でわかった屋根の概要です。
| 所在地 | 高知県高知市 |
|---|---|
| 築年数 | 約50年 |
| 屋根の形 | 切妻屋根(屋根同士が折り重なる部分あり) |
| 屋根材 | 和型スレート(和瓦の形をしたセメント系の厚型スレート) |
| 周辺環境 | すぐ近くに松林があり、松の葉が屋根に落ちやすい |
| ご相談内容 | 屋根にある枯葉を取ってほしい |
| 現在の雨漏り | なし |
お客様が気にされていたのは、2階の窓から見える屋根の上の茶色いかたまり。「いつの間にかこんなに溜まって…」とのことでした。近くに松林があるお宅では、こうしたご相談は秋から冬にかけて特に多くなります。
切妻屋根は、本を伏せたような二方向の屋根面でできたシンプルな形で、本来は雨仕舞い(雨水を処理する納まり)の弱点が少ない屋根です。ただ、増築や下屋(げや=1階部分の屋根)があって屋根と屋根が重なり合う場所ができると、そこが雨水も落ち葉も集まる「交差点」になります。今回の屋根がまさにそのケースでした。
枯葉が溜まっていたのは「屋根が折り重なる部分」でした
屋根に上がって一通り確認すると、屋根面全体に枯葉が散らばっているわけではありませんでした。溜まっていたのは、屋根が折り重なっている部分に集中していました。
これには理由があります。屋根に落ちた葉は、風や雨に押されて少しずつ下へ、そして水が流れていく方向へ移動します。屋根が重なり合う部分は、上の屋根からの雨水が集まってくる場所。つまり、雨水が集まる場所=落ち葉も集まる場所なのです。
実際に溜まった葉をよけてみると、上の方はまだ乾いた松葉でしたが、下の層は湿って黒っぽくなり、細かい土のようになりかけていました。瓦と瓦の重なりのすき間にも、細い松葉が何本も差し込まれるように入り込んでいました。
落ち葉は「屋根の上に乗っている」だけに見えて、実際は水の通り道にフタをしている状態です。屋根の上から見て一番溜まっている場所は、たいてい一番大事な排水ルートの上。そこを確かめることが点検の基本です。

松の葉が屋根にとって厄介な理由
同じ落ち葉でも、松の葉は屋根にとってちょっと厄介です。長年いろいろな屋根を見てきた中で、現場で感じていることをまとめます。
① 細くて、瓦のすき間に入り込む
広葉樹の葉は平たいので屋根の表面に乗ることが多いのですが、松の葉は針のように細長いため、瓦の重なり部分や、瓦と板金のすき間に刺さるように入り込みます。表面だけほうきで掃いても、すき間に入った葉は残ってしまいます。
② 腐りにくく、何年分も積み重なる
松の葉は硬くて分解されにくいので、一度溜まると簡単にはなくなりません。去年の分、その前の分…と層になって積み重なり、下の層ほど水を含んだスポンジのような状態になっていきます。
③ 土になり、コケや草の苗床になる
積み重なった葉がやがて土のようになると、そこに風で飛んできた種が落ちてコケや雑草が生えることがあります。根が張ると瓦のすき間を押し広げ、さらに水を呼び込む——棟に雑草が生える仕組みとよく似た流れです。
④ 常緑樹でも、葉は落ちる
「松は一年中緑だから葉は落ちないでしょう」と言われることがありますが、実は古い葉は順番に落ちていきます。近くに松林がある限り、屋根には毎年少しずつ葉が届くと考えておいた方が安心です。
今は雨漏りなし。それでも「全部除去」をご提案した理由
今回、お客様のお宅では雨漏りはまだ起きていません。それでも私は「一部だけでなく、全部取りましょう」とご提案しました。理由は、雨漏りに至るまでの流れが目に見えていたからです。
| 段階 | 屋根で起きること |
|---|---|
| ① 今の状態 | 折り重なり部分に枯葉が溜まりはじめる。まだ雨水は葉のすき間を抜けて流れている |
| ② 量が増える | 葉の層が厚くなり、水の流れが遅くなる。大雨のとき、流れきれない水がその場に溜まる |
| ③ 雨水の道がなくなる | 行き場を失った水が、瓦の重なりの奥や板金の立ち上がりを越えて瓦の下へ入り込む |
| ④ 雨漏り | 瓦の下の防水シート(ルーフィング)の弱ったところから下地へ。天井のシミとして初めて気づく |
ポイントは、雨漏りは「雨水の量」と「水の逃げ道」のバランスが崩れたときに起こるということです。普段の雨なら問題がなくても、高知は台風や梅雨の大雨が多い土地。一度に大量の雨が降ったとき、葉で細くなった水の道ではさばききれません。
さらに今回の屋根は築約50年。瓦の下の防水シートも年数が経っている可能性が高く、「瓦の下に水が入っても受け止めきれない」かもしれない状態です。だからこそ、水を瓦の下に入れないこと——つまり水の道をきれいに保つことが、この屋根を長持ちさせる一番の近道だと考えました。
一部だけ取っても、すき間に残った松葉や下の層の湿った葉が、また次の葉を引っかけるきっかけになります。中途半端に残すと、すぐ元に戻ってしまう。それが「全部除去」をおすすめした理由です。
枯葉除去の作業の流れ
枯葉の除去は「掃除」と思われがちですが、屋根の上での作業は瓦の扱いを知っている職人でないと、かえって屋根を傷めてしまうことがあります。村山瓦では次のような流れで作業します。
- 安全確保と屋根全体の確認
足元の瓦の状態を確認しながら、踏んでよい場所・踏んではいけない場所を見極めます。年数の経った和型スレートは、踏む位置を間違えると割れることがあるためです。 - 表面の枯葉を手で取り除く
溜まった葉を少しずつ手で集め、袋に入れて回収します。屋根から下へ落とすとご近所や雨樋に入ってしまうので、基本は袋で持ち降ろします。 - 瓦のすき間に入った松葉を抜き取る
重なり部分に差し込まれた細い葉を一本ずつ抜き取ります。ここを残すと再発しやすいので、一番時間をかける工程です。 - 土状になった堆積物を除去
下の層の湿った葉や土になりかけたものも取り除き、水の通り道が本来の形に戻っているかを確認します。 - 周辺の点検
葉が溜まっていた部分の瓦や板金に傷み・サビ・ズレがないか、雨樋に葉が流れ込んでいないかをあわせて確認します。 - 写真でご報告
作業前後の様子や、気になる箇所があれば写真でお見せしながらご説明します。
以前、高知市の店舗様でも屋根材の間に挟まった枯葉の撤去をさせていただきました。枯葉を取り除くことで、屋根の傷みの原因を減らし、屋根を少しでも長持ちさせることにつながります。大きな工事をする前に、できることからやっておく。それが村山瓦の考える屋根のお守りです。
【基礎知識】和型スレートと、屋根の「水の通り道」
ここからは少し専門的なお話です。屋根の仕組みを知っておくと、枯葉が溜まることのリスクがよりわかりやすくなります。
和型スレート(厚型スレート)とは
和型スレートは、セメントと砂を主な原料にして和瓦の形に成形し、表面を塗装した屋根材です。セメント瓦・厚型スレートとも呼ばれ、粘土を焼いて作る日本瓦(陶器瓦)とは原料が異なります。重みがあって風でズレにくいことから、台風の多い四国・九州では昭和40〜50年代を中心に多くの住宅で使われました。高知市内でも、築40〜50年前後のお宅でよく見かける屋根材です。
| 比較項目 | 和型スレート(セメント系) | 日本瓦(粘土瓦) |
|---|---|---|
| 主な原料 | セメント・砂 | 粘土(焼成) |
| 表面 | 塗装で防水性を保つ | 釉薬・いぶしなど焼き物の表面 |
| 水への強さ | 塗装が劣化すると水を吸いやすくなる | 素材自体が水に強い |
| 年数経過後 | もろくなり、踏むと割れやすい | 瓦自体は長持ちしやすい |
和型スレートは表面の塗装が防水を担っているため、濡れた落ち葉が長く乗っている状態は苦手です。湿った状態が続くとコケが生えやすくなり、素材が水を含んでもろくなる原因にもなります。
屋根は「一次防水」と「二次防水」の二重構造
瓦屋根は、表面の瓦が雨の大部分を受け流す一次防水と、瓦の下に張られた防水シート(ルーフィング)が入り込んだ水を軒先へ流す二次防水の二重構造になっています。落ち葉で表面の水の流れが妨げられると、本来は少量しか入らないはずの水が瓦の下へ回り込み、二次防水への負担が一気に大きくなります。
「屋根が重なる部分」は雨水が集中する
屋根と屋根の重なり部分や谷になる部分は、複数の屋根面から流れてきた雨水が一点に集まる場所です。屋根の中でも特に水の量が多く、板金で納めていることも多い部分。ここに葉が溜まると、水があふれて板金の立ち上がりを越えたり、濡れた葉が張り付いて板金のサビや穴あきを早めたりすることがあります。
屋根の落ち葉と雨樋の詰まりはセット
屋根に溜まった葉は、大雨のたびに少しずつ流れて雨樋に入り込みます。雨樋が詰まると、雨水があふれて外壁を伝ったり、軒先の瓦の重なりに水が逆流したりすることも。屋根の枯葉を取るときは、雨樋もあわせて確認するのがおすすめです。
地上からできるセルフチェック
近くに松林や大きな木があるお宅は、次の点を確認してみてください。
- ☐ 2階の窓やベランダから、屋根の上に茶色い葉のかたまりが見える
- ☐ 屋根と屋根が重なる部分、屋根と壁の取り合いに葉が溜まっている
- ☐ 屋根の一部が緑色っぽい(コケや草が生えている)
- ☐ 雨の日に、雨樋から水があふれている
- ☐ 雨樋の中に葉が見える、草が生えている
- ☐ 大雨のあと、軒先や外壁に水の流れたあとが残っている
和型スレートは年数が経つと割れやすく、踏んだだけで割れてしまうこともあります。また、落ち葉やコケの上は非常に滑りやすく、転落事故の危険があります。確認は地上や窓から、スマホのズームや双眼鏡で見える範囲にとどめてください。
ひとつでも当てはまれば、雨漏りが起きる前の今が点検のタイミングです。
よくあるご質問
Q. 雨漏りしていないのに、枯葉を取る必要はありますか?
A. はい、むしろ雨漏りしていない今が一番よいタイミングです。雨漏りが始まってからでは、瓦の下の防水シートや下地まで傷んでいることがあり、修理の範囲も費用も大きくなりがちです。枯葉の除去で済むうちに対処しておくのが、結果的に一番負担の少ない方法です。
Q. どのくらいの頻度で取ればいいですか?
A. 周りの木の量や屋根の形によって変わりますが、近くに松林があるお宅では年に1回程度、葉が落ちた後の時期に点検されると安心です。台風シーズンや梅雨の前に一度見ておくのもおすすめです。
Q. 自分で取ってもいいですか?
A. おすすめしません。屋根の上は想像以上に滑りやすく、落ち葉やコケの上ではなおさらです。また、和型スレートは踏み方を誤ると割れてしまい、そこから雨漏りにつながることもあります。屋根の上の作業は、瓦の扱いに慣れた職人にお任せください。
Q. 枯葉を取るついでに屋根の状態も見てもらえますか?
A. もちろんです。作業の際には、瓦の割れ・ズレ、板金のサビ、棟の状態、雨樋の詰まりなどもあわせて確認し、写真でご報告します。気になる点があれば正直にお伝えしますが、必要のない工事をおすすめすることはありません。
Q. また葉が溜まらないようにする方法はありますか?
A. 木がある限り、葉が届くこと自体を完全に防ぐのは難しいのが正直なところです。だからこそ、溜まりきる前に定期的に取り除くことが一番確実な対策になります。屋根の形や周りの環境を見たうえで、ちょうどよい点検のペースをご提案します。
まとめ・無料点検のご案内
- 「屋根の枯葉を取ってほしい」とのご相談で、高知市・築約50年・切妻・和型スレートの屋根を調査
- 近くの松林の葉が、屋根が折り重なる部分(雨水が集まる場所)に集中して溜まっていた
- 今は雨漏りしていないが、量が増えると雨水の道がなくなり、雨漏りにつながる状態
- 松の葉は細くて瓦のすき間に入り込み、腐りにくく積み重なるため、中途半端に残さず全部除去することをご提案
- 屋根の雨仕舞いは「水の道を守ること」。落ち葉はその道をふさぐ一番身近な原因
屋根の上の枯葉は、地上からはなかなか気づきにくく、「そのうちでいいか」と後回しにされがちです。でも、屋根にとっては小さな葉っぱ一枚一枚が、少しずつ水の道をふさいでいきます。雨漏りしてから直すより、雨漏りする前に取り除く。それが、お住まいを長く守るための一番シンプルで確実な方法です。
村山瓦では、屋根の点検を無料で行っています。点検結果は写真をお見せしながらご説明しますので、「うちの屋根にも葉が溜まっていないか心配」「近くに木があって気になっている」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
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