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棟に草が生える原因は「のし瓦の勾配」?南国市・築40年いぶし瓦の陸棟

  • 代表村山の現場ブログ

皆さんこんにちは。高知の屋根屋、村山瓦です。

今回は南国市のお客様から「屋根の棟に草が生えているので見てほしい」とご相談をいただき、点検に伺ってきました。

棟に草が生える相談自体は、高知ではそれほど珍しいものではありません。ただ今回は、普段はあまり草が生えない場所から生えていたのがポイントでした。現場で見えたことをそのままお伝えしながら、「なぜそこに草が生えたのか」「どう直せば再発しないのか」を詳しくご紹介します。

南国市・築40年いぶし瓦の屋根を点検しました

ご相談内容

お客様からのご相談は「家の外から見上げたら、屋根のてっぺんに草がひょろっと伸びている。このままで大丈夫か見てほしい」というものでした。雨漏りなどの症状はまだ出ていないものの、気になって連絡をくださったそうです。

屋根の状態

  • 所在地:高知県南国市
  • 築年数:約40年
  • 屋根材:高知県産のいぶし瓦
  • 草が生えていた場所:陸棟(屋根の一番高い位置にある水平の棟)

屋根に上がってまず感じたのは、「瓦そのものはまだしっかりしている」ということです。いぶし瓦は焼き物ですから、40年経っても瓦本体が大きく傷んでいることは少なく、今回も割れや大きなズレは見当たりませんでした。

一方で気になったのが棟の中身です。のし瓦の重なりのすき間から草が伸び、その根元には湿った土。指で触ると、葺き土(ふきつち)がボソボソと崩れてくる状態でした。瓦は元気でも、瓦を支えている「中身」が弱っている。築40年前後の土葺きの棟では、よく見かける状態です。

草が生えやすい棟・生えにくい棟がある

「棟」とひとくちに言っても、屋根の形によっていくつか種類があります。実は、草が生えやすい棟と生えにくい棟があるんです。

棟の種類 場所 草の生えやすさ
陸棟(大棟) 屋根の頂上にある水平の棟 生えにくい(日当たり・風通しが良く乾きやすい)
隅棟 寄棟などで屋根の角に斜めに下りる棟 生えやすい
化粧棟 屋根の見栄えを整えるために設ける棟 生えやすい

私たちが普段の現場で草を見かけるのは、圧倒的に化粧棟や隅棟です。これらの棟は、雨水が中に入り込んだときに乾くまで時間がかかります。湿った葺き土に風で飛んできた種が落ちれば、条件がそろって芽が出てしまうわけです。

反対に陸棟は、屋根のてっぺんで日差しも風もよく当たります。多少雨が入っても乾くのが早いので、草はあまり根付きません。

ところが今回の南国市の屋根は、その乾きやすいはずの陸棟から草が生えていました。ここが今回の点検で一番引っかかったところです。

乾きやすい陸棟に草が生えた原因は「のし瓦の勾配」

のし瓦には「水を外へ逃がす傾き」が必要

棟は、のし瓦という平たい瓦を何段か積み重ね、一番上に冠瓦(丸い瓦)をかぶせてつくります。このとき、のし瓦は水平に積むのではなく、外側に向かって少し下がるように傾き(勾配)をつけて積んでいきます。

この傾きがあるからこそ、のし瓦に当たった雨水はスッと外へ流れ、棟の内側にある葺き土まで届きにくくなっています。言ってみれば、のし瓦の勾配は棟の「水はけ」を決める大事な角度です。

勾配が緩いと、雨水が棟の中に回り込む

今回の陸棟を確認すると、のし瓦の勾配が緩く、ほとんど水平に近い状態でした。こうなると次のようなことが起こります。

  1. 雨水がのし瓦の上で流れ切らず、重なり部分にとどまる
  2. とどまった水が、すき間から内側の葺き土へしみ込む
  3. 葺き土が湿った状態になりやすく、土がやせて崩れやすくなる
  4. 風で運ばれた種がすき間に入り込み、湿った土で発芽する

本来なら陸棟は「多少水が入ってもすぐ乾く」場所です。それでも草が育つほど湿っていたということは、水が入る量そのものが多いということ。その原因の一つが、のし瓦の勾配の緩さだと判断しました。

高知の雨の多さも影響している

高知県は全国でも雨の多い地域で、梅雨や台風の時期には横殴りの雨も珍しくありません。勾配が緩い棟にとっては、水が入り込むチャンスがそれだけ多いということです。40年という年月の中で少しずつ葺き土が湿り、やせ、そして草が根付く状態になってしまったのだと思います。

現場からのひと言
陸棟に草が生えているときは、「たまたま種が落ちた」ではなく、棟のつくり自体に水が入りやすい理由があると考えたほうが安全です。私たちが点検で真っ先に見るのは、草そのものより「なぜそこが湿っているのか」です。

棟の草を放置するとどうなる?

「草くらい、見た目が悪いだけでしょう?」と思われるかもしれません。でも屋根屋の目から見ると、棟の草は棟の中が弱ってきているサインです。放っておくと、次のようなトラブルにつながる可能性があります。

根が棟を内側から押し広げる

草は育つにつれて根を伸ばし、のし瓦のすき間をじわじわと押し広げます。すき間が広がればさらに水が入り、葺き土はますます崩れていきます。悪循環です。

棟のズレ・崩れ

葺き土は、のし瓦や冠瓦を支える土台です。土台がやせて崩れれば、棟瓦は波打ったりズレたりしやすくなります。そこに台風の強風や地震の揺れが加わると、棟ごと崩れてしまうことも考えられます。屋根のてっぺんから瓦が落ちるのは、ご家族やご近所にとっても大変危険です。

雨漏りにつながる

棟から入った雨水が増えていくと、やがて瓦の下の防水シートや下地の木材にまで影響が出て、雨漏りの原因になることがあります。雨漏りが室内に出たときには、屋根の中で傷みがかなり進んでいるケースも少なくありません。

草抜き・除草剤では解決しない理由

お客様からよく「草を抜くだけではだめですか?」と聞かれます。お気持ちはよくわかりますが、正直にお伝えすると、草を抜いたり除草剤をまいたりするだけでは、根本的な解決にはなりません。

  • 湿りやすい原因(のし瓦の勾配)がそのまま残るので、また種が入れば同じように生えてくる
  • 深く張った根を無理に引き抜くと、葺き土ごと崩れてすき間がかえって広がることがある
  • 除草剤は毎年続けることになり、手間も費用もかかり続ける
  • そもそも屋根に上がっての作業は転落の危険があり、ご自身で行うのはおすすめできません

草は「結果」で、原因は「棟の中に水が入って乾きにくいこと」です。ですから、直すべきは草ではなく棟そのもの。これが今回、棟の積替え工事をご提案した理由です。

ご提案した「棟の積替え工事」とは

棟の積替え工事は、今ある棟をいったん解体し、中身から作り直す工事です。今回の南国市のお客様には、次のような流れでご提案しました。

1. 既存の棟瓦を丁寧に取り外す

冠瓦・のし瓦を一枚ずつ外していきます。高知県産のいぶし瓦は状態が良いものが多いので、再利用できる瓦は洗って再び使うことを前提に、割らないよう慎重に作業します。長年なじんだ瓦をそのまま活かせるので、屋根全体の色合いも違和感なく仕上がります。

2. 傷んだ葺き土を撤去・清掃する

湿ってやせた葺き土や、草の根をすべて取り除きます。ここで中途半端に古い土を残すと、そこからまた傷みが始まってしまうので、きれいに清掃します。

3. 屋根用漆喰(南蛮漆喰)で強い土台をつくる

葺き土の代わりに、雨水に強い屋根用漆喰を使って棟の土台をつくり直します。土に比べて水に強く、やせにくい材料なので、種が根付きにくい棟になります。

4. のし瓦を「正しい勾配」で積み直す

今回の工事で一番大事にしたいのがここです。のし瓦にしっかりと外へ水を逃がす勾配をつけて積み直し、雨水が棟の内側にとどまらないようにします。草が生えた原因そのものに手を入れる工程です。

5. 緊結して冠瓦をかぶせ、仕上げ

のし瓦・冠瓦を銅線やステンレスのビスなどでしっかり固定し、台風や地震でもズレにくい棟に仕上げます。

現場からのひと言
積替え工事は、棟の「見た目を直す工事」ではなく「水の流れを直す工事」だと思っています。瓦をきれいに積むことはもちろん大切ですが、本当に大事なのは雨が降ったときに水がどこを通って、どこへ抜けていくか。そこまで考えて積むのが屋根屋の仕事です。

知っておきたい棟工事の基礎知識

昔の棟と今の棟の違い

築30〜40年ほどの瓦屋根の多くは、葺き土の接着力と瓦の重みで棟を保つつくりになっています。当時としては一般的な工法ですが、年月とともに土がやせると、どうしても棟が弱くなってしまいます。

現在は、全日本瓦工事業連盟などが示す「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」にもとづき、棟の中に補強金具を入れ、のし瓦を緊結線で、冠瓦をビスで下地に固定する工法(いわゆるガイドライン工法)が広く使われています。地震や強風に対する強さを、実験で確かめながら作られた工法です。

瓦の留め付けは法律でも強化されています

台風による瓦の飛散被害を受けて、2022年(令和4年)1月からは、新築などの瓦屋根について、棟を含めた瓦の留め付け方法の基準が強化されました。既存住宅の修理に直接義務がかかるものではありませんが、「棟はしっかり固定するもの」という考え方が、いまや国の基準にもなっているということです。棟を積み替えるなら、この考え方に沿って強い棟にしておくのがおすすめです。

漆喰の詰め直しとの違い

棟の補修方法には「漆喰の詰め直し」もありますが、これは棟の側面(面戸)を補修するもので、のし瓦の勾配や中の葺き土の傷みまでは直せません。今回のように中身が傷み、勾配にも問題がある場合は、積替え工事のほうが結果的に長持ちします。どちらが合うかは屋根の状態次第ですので、点検のうえでご提案しています。

いぶし瓦は「瓦を活かして直す」ことができる

いぶし瓦は、表面の銀色の膜が年月とともに味わいのある色合いに変わっていく瓦です。瓦本体が丈夫なので、屋根全体を葺き替えなくても、棟だけ作り直すことで屋根を長く使い続けられるケースが多くあります。今ある瓦の良さを活かしながら、弱ったところだけを根本から直す。これも長く地元の屋根に携わってきた村山瓦が大切にしている考え方です。

ご自宅の棟を地上からチェックする方法

次のような症状がないか、地上や2階の窓から見える範囲で確認してみてください。

  • 棟の上や横に草・コケが見える
  • 棟のラインがまっすぐでなく、波打って見える
  • のし瓦や冠瓦が一部ズレている、浮いている
  • 棟の側面の漆喰が剥がれている、黒ずんでいる
  • 台風や大雨のあと、屋根の見た目が変わった気がする

※屋根に上がるのは大変危険です。ご自身では絶対に上がらず、見える範囲での確認にとどめてください。

特に陸棟(屋根のてっぺん)に草が見える場合は、今回の南国市の屋根と同じように、棟のつくり自体に原因がある可能性があります。早めにご相談ください。

よくあるご質問

Q. 草が少し生えているだけでも、積替えが必要ですか?

A. 草の量だけでは判断できません。棟の中の葺き土の状態や、のし瓦の勾配、ズレの有無などを点検したうえで、補修で済むのか、積替えが必要なのかをご説明します。必要のない工事をおすすめすることはありませんのでご安心ください。

Q. 今の瓦はそのまま使えますか?

A. いぶし瓦など状態の良い瓦は、洗って再利用できることが多いです。割れや欠けがある瓦のみ新しいものと交換します。

Q. 工事中は家にいても大丈夫ですか?

A. はい、屋根の上での作業ですので、普段どおりお過ごしいただけます。作業の音や車両の出入りなど、事前にご説明いたします。

Q. 南国市以外でも点検に来てもらえますか?

A. 高知市を中心に、弊社事務所から車で30分〜1時間ほどの範囲で対応しています。南国市・香南市・香美市・土佐市・いの町など、まずはお気軽にご相談ください。

まとめ・無料点検のご案内

今回の南国市・築40年いぶし瓦の屋根では、本来乾きやすい陸棟から草が生えていました。その原因の一つは、のし瓦の勾配が緩く、雨水が棟の中に回り込みやすいつくりだったことです。

  • 化粧棟や隅棟に比べ、陸棟は乾きやすく草が生えにくい
  • 陸棟に草が生えるのは、棟のつくりに原因があるサイン
  • 草抜き・除草剤では原因が残るため再発しやすい
  • 棟の積替え工事で、葺き土を取り除き、正しい勾配で積み直すことが根本解決
  • いぶし瓦は再利用でき、屋根全体の葺き替えをせずに長持ちさせられることが多い

「うちの棟にも草が生えている」「てっぺんの瓦がなんとなく波打って見える」という方は、症状が小さいうちに一度点検をしてみてください。棟は、早めに手を入れるほど工事の範囲も費用も抑えやすくなります。

屋根の無料点検・ご相談はお気軽に

「棟に草が生えている」「瓦がズレている気がする」など、
気になることがあれば村山瓦までご相談ください。

お電話:088-882-2339

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