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隅棟の漆喰が外れたらどう直す?高知市の現場で「積み替え」を選んだ理由

  • 代表村山の現場ブログ

こんにちは、高知の屋根屋・村山瓦です。

先日、高知市内のお客様から「隅棟(すみむね)の漆喰が外れているんだけど、どうやって直したらいいのか教えてほしい」というご相談をいただき、さっそく屋根に上がって点検してきました。

漆喰が外れていると「漆喰を塗り直せば大丈夫」と思われがちですが、実際に屋根の上で棟の中身まで見てみると、それだけでは済まないケースが少なくありません。今回の現場もまさにそうでした。

この記事では、今回の現場で実際に見た隅棟の状態と、なぜ漆喰補修ではなく「積み替え工事」をご提案したのかを、現場の感覚そのままにお伝えします。あわせて、隅棟の補修方法の違いや、ご自宅で確認できるポイントもまとめました。

そもそも隅棟とは?漆喰は何のためにある?

隅棟とは、屋根のてっぺんを水平に走る「大棟(おおむね)」から、屋根の四隅に向かって斜めに下りている棟のことです。寄棟屋根や方形屋根など、屋根面が四方向に分かれている家でよく見られます。

隅棟は、下から順に次のような構造になっています。

  • 葺き土(赤土):棟の土台となる土。のし瓦を据える台の役目
  • のし瓦:土台の上に何段か積み重ねる平たい瓦
  • 冠瓦(丸瓦):いちばん上にかぶせる瓦
  • 漆喰:のし瓦と屋根瓦のすき間(面戸)をふさぎ、中の土を雨から守る

つまり漆喰は、棟の中にある土台を雨や風から守る「フタ」のような存在です。漆喰そのものが瓦を支えているわけではなく、本当に棟を支えているのは中の葺き土と、瓦同士を固定する銅線などの結束線です。

だからこそ、漆喰が外れているのを見つけたときに大事なのは、「フタが取れた結果、中の土台がどうなっているか」を確認することなんです。

高知市の現場で見た隅棟の状態

今回お伺いしたのは、高知市内の瓦屋根のお宅です。お客様が地上から見て「漆喰が取れている」と気づかれたのがきっかけでした。

屋根に上がって隅棟を一本ずつ見ていくと、地上から見えていた以上に傷みが進んでいました。

漆喰が外れ、面戸から赤土がのぞいている

まず目に入ったのは、漆喰が外れて面戸部分がむき出しになっている箇所です。そこから中の赤土が見えていて、指で軽く触るとボロボロと崩れてくる状態でした。

長い年月、漆喰のすき間から雨水が入り込んでは乾く、を繰り返したことで、土の粘りがすっかり抜けてしまっていたんです。

のし瓦が外れそうになっている

次に気になったのが、のし瓦のズレです。隅棟は斜めに下っている棟なので、土台が弱るとのし瓦が少しずつ下へ下へと滑るように動いてしまいます。今回も、段になっているのし瓦の並びが波打っていて、手を添えるとわずかにグラつく箇所がありました。

このまま台風シーズンの強風を受けたら、のし瓦が外れて落ちてもおかしくない――そう感じる状態でした。

のし瓦同士が結束線で緊結されていない

そして一番のポイントがここです。のし瓦同士が結束線(銅線など)でしっかり緊結されていませんでした。

昔の施工では、棟は葺き土の粘りと瓦の重さで安定させる考え方も多く、瓦同士を線でしっかり縛る施工がされていない屋根も珍しくありません。土が元気なうちはそれでも持ちこたえますが、土が痩せてもろくなると、瓦をつなぎとめるものが何もなくなってしまいます。

現場でお客様にお伝えしたこと

「漆喰が外れているのは“結果”で、原因は中の土台が弱っていることです。表面だけ塗り直しても、中の土がもろいままだと、また数年で同じように外れてしまう可能性が高いです」

隅棟の補修方法は「漆喰補修」と「積み替え」の2つ

隅棟の漆喰が外れているときの直し方は、大きく分けて2つあります。どちらが正解というわけではなく、棟の中身の状態によって選ぶべき工事が変わります。

漆喰補修(詰め直し) 積み替え工事(積み直し)
工事内容 古い漆喰を取り除き、新しい漆喰を詰め直す 棟瓦を一度すべて解体し、土台からつくり直して積み直す
向いている状態 漆喰の劣化が表面だけで、のし瓦にズレやグラつきがない のし瓦がズレている・中の土がもろい・結束されていない
工期の目安 比較的短い 棟の長さや本数により数日程度
費用 抑えやすい 漆喰補修より高くなる
持ち 土台の状態に左右される 土台から新しくなるため長く安心できる

漆喰補修が向いているケース

築年数がそれほど経っておらず、漆喰にひび割れや部分的な剥がれがある程度で、のし瓦はしっかり固定されている――このような状態であれば、漆喰の詰め直しで十分なことも多いです。早めに手を打てば、費用も工期も抑えられます。

積み替え工事が必要なケース

一方で、のし瓦がズレている、棟が波打っている、中から土が崩れ出ている、といった状態では、漆喰を塗ってもすぐに剥がれてしまう可能性があります。土台そのものが傷んでいる場合は、一度解体して土台からつくり直す積み替え工事が根本的な解決になります。

今回「積み替え」をご提案した3つの理由

お客様からは「漆喰を塗るだけで済むならそのほうが…」というお気持ちも伺いました。費用のことを考えれば当然です。それでも今回、積み替えをご提案したのには、はっきりとした理由があります。

理由1:経年劣化で、のし瓦が外れそうになっていた

のし瓦のズレは、すでに土台が瓦を支えきれていないサインです。漆喰は瓦を支える材料ではないので、表面だけ塗り直しても、のし瓦の動きは止められません。ズレた瓦をそのままにして上から漆喰で固めると、見た目は一時的にきれいになっても、中では問題が続いたままになってしまいます。

理由2:のし瓦同士が結束線で緊結されていなかった

漆喰補修は、棟を解体せずに表面だけを直す工事です。つまり、結束線が入っていないという根本的な弱点は、漆喰補修では解消できません。台風や地震の揺れに耐える棟にするには、一度バラして、のし瓦同士をしっかり緊結し直す必要がありました。

理由3:土台の赤土がもろくなっていた

中の赤土が粘りを失ってボロボロになっていると、そこに新しい漆喰を塗っても、しっかり食いつく下地がありません。弱った土の上に塗った漆喰は、土と一緒に剥がれ落ちてしまうことがあります。土台がもろい以上、土台ごと入れ替えるのが一番確実だと判断しました。

現場の本音

正直、漆喰補修のほうが工事としてはすぐ終わりますし、お見積もりも安く出せます。でも、数年後にまた同じ場所でお客様に費用をかけていただくことになるなら、それはお客様のためになりません。「一度直したら、しばらくは屋根のことを忘れて暮らしていただける工事」をご提案するのが、地元で70年以上屋根に携わってきた私たちの考え方です。

隅棟の積み替え工事の流れ

積み替え工事は、実際にどのように進めるのか。一般的な流れをご紹介します(屋根の状態によって細かな内容は変わります)。

  1. 冠瓦・のし瓦を丁寧に取り外す
    再利用できる瓦は割らないように一枚ずつ外し、屋根の上で安全に仮置きします。
  2. 古い葺き土・漆喰を撤去して清掃する
    もろくなった赤土や古い漆喰をすべて取り除き、屋根面をきれいにします。ここで下地の傷み具合も直接確認できます。
  3. 雨に強い屋根用漆喰で土台をつくる
    従来の赤土の代わりに、防水性と強度に優れた屋根用漆喰(南蛮漆喰)で土台をつくります。土のように雨で痩せにくく、雑草も生えにくい強い棟の土台になります。
  4. のし瓦を積み直し、結束線でしっかり緊結する
    のし瓦を通りよく積み直し、瓦同士を結束線でしっかり緊結。今回の屋根で足りていなかった「瓦をつなぎとめる力」をここで取り戻します。
  5. 冠瓦をかぶせて固定し、仕上げる
    最後に冠瓦をかぶせて固定し、面戸まわりを仕上げます。まっすぐ通った隅棟は、見た目にも屋根全体がぐっと引き締まります。

地上から見ると同じ「隅棟」でも、中身がまったく別物に生まれ変わるのが積み替え工事です。完成後は、お客様にも工事中の写真で中の状態をご確認いただいています。

高知の隅棟が傷みやすい理由

毎日高知の屋根に上がっていて感じるのは、高知の屋根は全国的に見ても過酷な環境にあるということです。

高知は雨の量が多く、一度に強く降ることも少なくありません。さらに夏から秋にかけては台風の通り道にもなりやすく、横殴りの雨と強風が屋根を直撃します。晴れれば晴れたで日差しが強く、屋根の上は相当な高温になります。

「濡れる・乾く・熱される」を繰り返すことで、漆喰や中の赤土は少しずつ痩せていきます。とくに隅棟は斜めに下る形のため、雨水が棟に沿って流れやすく、大棟よりも傷みが早く出ることもあります。

築30年を超えるお宅で、一度も棟のメンテナンスをしていない場合は、台風シーズンの前後に一度点検されることをおすすめします。

地上からできる隅棟のセルフチェック

屋根に上るのはとても危険ですので、絶対にご自身で上らないでください。地上や2階の窓から見える範囲で、次のポイントを確認してみてください。

  • 棟の側面の白い漆喰が欠けている・黒ずんでいる
  • 漆喰が取れたところから茶色い土が見えている
  • 棟のラインが真っすぐではなく、波打って見える
  • 棟の上に草やコケが生えている
  • 雨どいや地面に、土や漆喰のかけらが落ちている
  • 強風のあと、棟の見た目が変わった気がする

ひとつでも当てはまる場合は、中の土台が弱り始めているかもしれません。早めの点検で、漆喰補修だけで済むうちに手を打てることもあります。

また、突然訪ねてきた業者から「漆喰が剥がれていますよ」と言われ、その場で契約を急かされるケースもあると聞きます。屋根の状態は、実際に中身を見て判断するものです。慌てずに、信頼できる地元の業者にご相談ください。

よくあるご質問

隅棟の漆喰が少し取れているだけでも、修理は必要ですか?
すぐに雨漏りするとは限りませんが、漆喰が取れた部分から雨水が入り、中の土が少しずつ流れ出していきます。のし瓦が動いていない早い段階なら漆喰補修で済むことも多いので、放置せずに一度点検されることをおすすめします。
漆喰補修と積み替え、どちらになるかはどうやって決まりますか?
のし瓦のズレやグラつき、中の土の状態、結束線の有無などを屋根の上で確認して判断します。表面だけの劣化なら漆喰補修、土台まで傷んでいれば積み替えをご提案します。どちらの場合も、理由を写真でご説明します。
隅棟だけの積み替えもできますか?
はい、傷んでいる隅棟だけの積み替えも可能です。ただし大棟など他の棟も同じ年数が経っている場合は、足場や作業の段取りを考えると、まとめて工事したほうが結果的にお得になることもあります。屋根全体の状態を見たうえでご提案します。
自分で漆喰を塗って直すことはできますか?
屋根の上の作業は転落の危険が大きいため、おすすめしません。また、漆喰を塗りすぎて水の逃げ道をふさぐと、かえって雨漏りの原因になることもあります。屋根のことは専門の職人にお任せください。

まとめ:漆喰が外れたら「中身」を見てもらうことが大切

今回の高知市の現場では、隅棟の漆喰が外れているというご相談から点検したところ、

  • 経年劣化で、のし瓦が外れそうになっていた
  • のし瓦同士が結束線で緊結されていなかった
  • 土台の赤土がもろくなっていた

という3つの状態を確認し、漆喰補修ではなく積み替え工事をご提案しました。

漆喰が外れているのは、屋根からの「そろそろ見てほしい」というサインです。表面だけで判断せず、棟の中身まで確認したうえで、その屋根にとって本当に必要な工事を選ぶことが、結果的に長く安心して暮らせる近道になります。

村山瓦では、瓦屋根診断技士の資格を持つ代表の村山が、点検からご提案、施工、アフターフォローまで一貫して担当します。「うちの棟は大丈夫かな?」と少しでも気になったら、どうぞお気軽にご相談ください。

隅棟・棟瓦の点検、漆喰補修、積み替えのご相談は
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