「棟から草が…」高知市内の現場で見た状態
- 代表村山の現場ブログ
皆さんこんにちは、村山瓦の村山です。
今回は高知市内のお客様から「棟から草が生えているので見てほしい」とご相談をいただき、調査に伺った時のお話です。屋根に上がってみると、草が生えていたのは一番高い大棟ではなく、切妻屋根の破風(はふ)近くに積まれた「下り棟(くだりむね)」でした。のし瓦も外れかけていて、見た目以上に手入れが必要な状態です。現場で見たこと、お客様にご提案した2つの直し方、そしてプロの目線での判断のポイントをまとめました。
「棟から草が…」高知市内の現場で見た状態
ご相談は「草が生えているのが気になる」から
お電話でのご相談は「屋根の棟のところから草が生えている。抜いたほうがいいのか、何か悪いことが起きているのか見てほしい」という内容でした。棟の草は、下から見上げるとちょっとした緑にしか見えないので、「そのうち枯れるだろう」とそのままにされている方も少なくありません。今回のお客様は「なんとなく気になる」と早めに声をかけてくださったので、とても良いタイミングだったと思います。
屋根に上がって分かった「草の正体」
現地で屋根に上がって確認すると、草が根を張っていたのは切妻屋根の端、破風付近に積まれている下り棟でした。大棟から軒先に向かって流れるように積まれた棟で、屋根の外観を引き締める化粧の役割もある部分です。
のし瓦と冠瓦のすき間をのぞくと、中の葺き土(ふきつち)が湿って黒っぽくなっており、そこに種が入り込んで芽を出していました。さらに気になったのがのし瓦の状態です。経年劣化で葺き土が痩せ、のし瓦を押さえる力がほとんど残っていません。手で軽く触れるとグラつき、一部は今にも外れそうな状態でした。
現場で感じたこと
下り棟は大棟よりも低い位置にあり、しかも屋根の端なので、地上からは草に気づきにくい場所です。「草が見えた」ということは、中ではそれなりの期間、雨水が入り続けていたと考えるのが自然です。草そのものより、草が育てるほど棟の中が湿っていることのほうが問題だと、お客様にもその場でお伝えしました。

なぜ破風付近の下り棟に草が生えやすいのか
棟に草が生える現象そのものは珍しくありませんが、長年現場を見ていると、破風(けらば)に近い下り棟は特に傷みやすいと感じます。理由は大きく3つあります。
① 屋根の端は風と雨をまともに受ける
切妻屋根の妻側の端(けらば)は、屋根の中でも風雨の影響を受けやすい位置です。横殴りの雨が棟のすき間に吹き込み、葺き土を少しずつ流していきます。高知は雨の量が多く、台風の通り道にもなりやすい土地柄なので、端部の傷み方は他県の屋根より早いと感じることがあります。
② 葺き土が乾ききらず、種が根付きやすい
一度雨水が入ると、棟の中の葺き土はなかなか乾きません。湿った土は、風で飛んできた種にとって絶好の苗床です。芽が出て根が伸びると、今度は根が土を押し広げ、すき間がさらに大きくなる。この悪循環で、年々草が元気になっていきます。
③ 下り棟は後回しにされやすい
漆喰の補修などで大棟は手入れしていても、下り棟まで手が回っていない屋根をよく見かけます。見えにくく、目立たない場所だからこそ、劣化が静かに進んでしまうのです。
放置するとどうなる?のし瓦の落下と雨漏りのリスク
破風付近ののし瓦は、外れると地上へ落ちる位置にあります。
大棟の瓦がズレても屋根の上にとどまることがありますが、屋根の端にある下り棟ののし瓦は、外れればそのまま軒下や通路、場合によってはお隣の敷地へ落ちる可能性があります。台風シーズンの前に手を打っておきたい理由がここにあります。
また、棟の中に入った雨水は、葺き土を伝って下の瓦や野地板に回ることがあります。すぐに室内まで雨漏りするとは限りませんが、屋根の下地が長く湿った状態が続くと、木材の傷みにつながります。「草が生えている=棟の中に水が入りやすくなっているサイン」と受け止めていただくのが安全です。
草を抜いたり除草剤をまいたりすると、見た目は一時的にきれいになります。ただ、湿った葺き土とすき間はそのまま残るので、翌年にはまた生えてきます。毎年同じことを繰り返すより、原因になっている棟そのものを直すほうが、結果的に手間も費用も抑えられるケースが多いです。
今回ご提案した2つの方法「撤去」か「南蛮漆喰で積み直し」
今回のお宅では、のし瓦の傷み具合と屋根全体の状態を見たうえで、次の2つの方法をご提案しました。どちらが正解というより、お客様がこの家とどう付き合っていきたいかで選んでいただく内容です。
方法1:下り棟を撤去する(今後の手入れがいらなくなる)
下り棟を取り外し、屋根の端をすっきり納める方法です。棟そのものがなくなるので、草が生える場所も、のし瓦が外れる心配もなくなります。今後の手入れの手間を減らしたい方、高齢のご夫婦お二人暮らしで「もう屋根のことで悩みたくない」という方にはとても合理的な選択です。
ただし、撤去した部分はそのままでは終われません。下り棟の下にあった瓦の状態を確認し、雨水が入らないよう納まりを整える必要があります。また、屋根の見た目がシンプルになるので、和風の外観にこだわりのある方は、仕上がりのイメージをしっかり確認してから決めていただくのがおすすめです。
方法2:南蛮漆喰で積み直す(外観を残して強い棟に)
下り棟を一度すべて解体し、傷んだ葺き土を取り除いてから、南蛮漆喰(なんばんしっくい)を使って積み直す方法です。まだ使えるのし瓦や冠瓦は、きれいに掃除して再利用します。
南蛮漆喰は、昔ながらの葺き土に比べて雨水に強く、硬化後も崩れにくい屋根専用の材料です。棟の中に水や種が入り込みにくくなるので、草の再発を防ぎながら、これまでと同じ屋根の表情を残せます。「この家らしい屋根の形は残したい」という方にはこちらをおすすめしています。
2つの方法の比較
| 比べるポイント | 下り棟を撤去 | 南蛮漆喰で積み直し |
|---|---|---|
| 草の再発 | 棟がなくなるので心配なし | 棟の中に水が入りにくくなり、生えにくくなる |
| 今後の手入れ | ほぼ不要 | 定期点検があると安心 |
| 外観 | すっきりシンプルになる | 今の和瓦らしい表情を残せる |
| 屋根の重さ | 軽くなる | 今とほぼ同じ |
| 向いている方 | 手間を減らしたい・将来の維持費を抑えたい | 外観を大切にしたい・長く住み続ける予定 |
どちらを選ぶか迷ったときの考え方
現場でよくお伝えしているのは、「あと何年この家に住むか」「誰がこの先の屋根を見ていくか」の2点です。お子さんに引き継ぐ予定で外観も大切にしたいなら積み直し、ご夫婦の代でしっかり区切りをつけたいなら撤去、という考え方もあります。どちらを選んでいただいても、屋根に合った納め方で責任を持って施工しますので、遠慮なくご相談ください。
知っておきたい棟の基礎知識
大棟・隅棟・下り棟の違い
瓦屋根の「棟」にはいくつか種類があります。屋根のてっぺんを水平に走るのが大棟、寄棟屋根などで角に向かって斜めに下りるのが隅棟、そして大棟から軒先方向へ下りていくのが下り棟です。切妻屋根では、破風に沿って下り棟を積んで屋根の輪郭を際立たせる納め方があり、化粧棟と呼ばれることもあります。
のし瓦・冠瓦・葺き土・漆喰の役割
棟は、平たいのし瓦を何段か重ね、その上にかまぼこ型の冠瓦をかぶせて作ります。瓦の間を埋めて土台になっているのが葺き土で、その表面を雨から守るのが漆喰です。つまり漆喰は「葺き土のカバー」の役目。漆喰が割れたり剥がれたりすると葺き土が雨にさらされ、痩せたり流れたりして、のし瓦を支えられなくなります。今回の現場は、まさにこの流れで傷んでいました。
「漆喰の塗り直し」だけでは直らない理由
漆喰の剥がれが表面だけなら詰め直しで対応できることもあります。しかし今回のように、中の葺き土が痩せてのし瓦がグラついている場合は、上から漆喰を塗っても土台は弱いままです。塗りすぎた漆喰がかえって水の逃げ道をふさぎ、中に水をためてしまうこともあります。土台まで傷んでいるときは、一度解体して積み直すのが根本的な直し方です。
南蛮漆喰とは
南蛮漆喰は、漆喰に防水性を高める成分などを加えた屋根用の材料で、葺き土の代わりに棟の土台として使えます。従来の「葺き土+表面の漆喰」という二層構造ではなく、土台そのものを雨に強い材料で作れるのが大きな違いです。近年の棟の積み直しでは主流の工法になっており、村山瓦でも積み直しの際に使用しています。
地上からできるセルフチェック
次のような症状が見えたら、一度点検をおすすめします。屋根に上がるのは大変危険ですので、必ず地上から見える範囲で確認してください。
- 棟(特に屋根の端や下り棟)に草やコケが見える
- 棟のラインが波打っている、途中で曲がって見える
- のし瓦の段が一部ずれている、すき間が見える
- 白い漆喰が剥がれて、中の土が見えている
- 家のまわりに瓦のかけらや土が落ちていることがある
- 台風や強風のあと、屋根の見た目が変わった気がする
よくあるご質問
- 棟の草を自分で抜いても大丈夫ですか?
- 屋根の上での作業は転落の危険があるため、おすすめできません。また、根が張った草を無理に抜くと、周りの葺き土や瓦まで一緒に崩してしまうことがあります。気になったら専門業者にご相談ください。
- 除草剤をまけば解決しますか?
- 一時的に枯らすことはできますが、草が生える原因である「湿った葺き土」と「すき間」は残るため、多くの場合また生えてきます。根本的に直すなら、棟の積み直しか撤去をおすすめします。
- 下り棟を撤去しても雨漏りしませんか?
- 撤去後に屋根の端をきちんと納めれば問題ありません。棟の下にあった瓦の状態を確認し、雨水が入らない形に整えてから仕上げます。屋根ごとに納め方が変わるので、現地を見てからご提案しています。
- 草が少しだけでも点検を頼んでいいですか?
- もちろんです。草が少ないうちに見つけられれば、直す範囲も小さく済むことが多いです。「こんなことで呼んでいいのかな」と思わず、お気軽にお声がけください。
まとめ
棟から生える草は、見た目の問題だけでなく「棟の中に水が入り、土台が弱っている」というサインです。特に切妻屋根の破風付近にある下り棟は、風雨を受けやすく、しかものし瓦が外れると地上に落ちる位置にあるため、早めの対処が大切です。
直し方は、手入れの手間をなくせる「下り棟の撤去」と、外観を残して強い棟に生まれ変わらせる「南蛮漆喰での積み直し」の2つが代表的です。どちらが合うかは、お住まいの状態やこれからの暮らし方によって変わります。村山瓦では、瓦屋根診断技士の資格を持つ代表の私が屋根に上がって状態を確認し、お客様と一緒に最適な方法を考えます。
「うちの棟にも草が…」と思ったら、まずは無料点検から
高知市を中心に、屋根のご相談を承っています。
お電話ならその場でご相談いただけます。




