雨が降っていないのに屋根から物音?
- 代表村山の現場ブログ
皆さんこんにちは、高知の屋根屋・村山瓦です。
今回は、高知市内のお客様からいただいた「雨も降っていないのに、屋根のほうからゴソゴソ音がする」というご相談についてお話しします。屋根の音というと雨漏りや瓦のズレを想像される方が多いのですが、今回の原因は瓦のわずかな隙間から入り込んだ小動物でした。
同じような音で眠れない夜を過ごしている方や、「屋根に何かいるかも」と不安に思っている方の参考になればうれしいです。
「雨でもないのに音がする」高知市からのご相談
ご連絡をいただいたのは高知市内にお住まいのお客様です。お話をうかがうと、晴れている日でも屋根のほうから「カサカサ」「コトコト」と何かが動くような音が聞こえる、とのことでした。
屋根の音のご相談で多いのは、強風で瓦が浮いてカタカタ鳴る、雨が当たって板金が響く、といったケースです。ただ、今回は雨も風もない日に音がするという点が気になりました。天候と関係なく音がするときは、瓦そのものではなく「何かが屋根の中にいる」可能性を頭に入れて調査に向かいます。
音がする時間帯や、どのあたりから聞こえるかをお客様に詳しくうかがっておくと、屋根に上がったときに見るべき場所の見当がつきます。今回も「家の端のほう、軒のあたりから聞こえる気がする」というお話が、原因にたどり着く大きなヒントになりました。

現地調査:切妻屋根・石州瓦の「すがる」部分に隙間
お住まいは切妻屋根で、屋根材は石州瓦でした。石州瓦は島根県で焼かれる釉薬瓦で、高温で焼き締められているため凍害や塩害に強く、台風や潮風の多い高知でもよく使われている瓦です。瓦自体の割れや色あせはほとんどなく、状態は良好でした。
「すがる」部分とは
今回注目したのは、屋根の「すがる(縋る)」部分です。切妻屋根のなかには、ケラバ(屋根の妻側の端)の途中から屋根が下へ延び、そこでケラバを納める袖瓦のラインと、軒先を納める軒瓦のラインがぶつかる形になっているものがあります。
この「取り合い」と呼ばれる部分は、形の違う瓦同士を組み合わせて納めるため、どうしても瓦と瓦の間に小さな隙間ができやすい場所です。職人の腕や施工当時の納め方によっても、仕上がりに差が出やすいところでもあります。
地上からは見えない位置に隙間
実際に屋根に上がって確認すると、軒瓦と袖瓦の取り合い部分に、ちょうど小動物が通れるほどの隙間が開いていました。この部分は地上から見上げても瓦の陰になってほとんど見えません。お客様も「まさかそんなところに穴があるとは」と驚かれていました。
音の正体は小動物がつくった巣でした
隙間の奥をのぞき込むと、枯れ草や細かいゴミのようなものが詰め込まれていました。小動物がつくった巣です。瓦の下は雨風がしのげて外敵からも見つかりにくいので、動物にとっては格好の隠れ家になります。
お客様が聞いていた「カサカサ」「コトコト」という音は、この巣の中で小動物が動いていた音でした。巣材がこすれる音や、瓦の下を行き来する足音が、屋根裏を伝って室内まで響いていたわけです。
屋根裏に入り込む動物としては、スズメやムクドリなどの鳥、ネズミ、コウモリ、イタチなどがよく知られています。種類によって音の大きさや活動する時間帯は違いますが、共通しているのは「わずかな隙間があれば入ってくる」ということ。今回のように、瓦の取り合いの小さな隙間でも十分な入口になってしまいます。
施工内容:巣の撤去と南蛮漆喰での侵入口ふさぎ
原因がはっきりしたので、次のような手順で手当てをしました。
- 巣の撤去
隙間の奥に詰め込まれた巣材を、周りの瓦を傷めないよう丁寧にかき出しました。巣を残したままふさぐと、湿気がこもって下地が傷む原因になるため、奥までしっかり取り除きます。 - 周辺の清掃と下地の確認
巣材を取り除いたあと、ゴミやフンが残っていないか、瓦の下の下地や葺き土が傷んでいないかを確認しました。今回は下地に大きな傷みはなく、ひと安心です。 - 南蛮漆喰で隙間をふさぐ
軒瓦と袖瓦の取り合いにできていた隙間を、南蛮漆喰で詰めてふさぎました。瓦の形に沿わせて押さえ込み、小動物が再び入り込めない状態に仕上げています。 - 仕上がりと周辺の最終チェック
同じような取り合い部分がほかにないか、屋根全体をぐるりと確認して作業完了です。
作業後、お客様から「これで夜も安心して眠れます」とお声をいただきました。原因がわからない音ほど不安なものはありません。原因を見つけて、目の前で理由を説明できることが、現場に立つ屋根屋の大事な仕事だと改めて感じた一件でした。

なぜ南蛮漆喰を使うのか
瓦屋根の隙間ふさぎには、昔ながらの漆喰や葺き土が使われてきました。ただ、従来の漆喰は雨に打たれ続けると少しずつ痩せたり剥がれたりして、そこがまた隙間になってしまいます。
南蛮漆喰は、漆喰の主原料である消石灰に、防水性を高める成分などを加えた屋根用の材料です。雨水に強く、硬化後の強度も高いため、今回のような「一度ふさいだら長くもたせたい」場所に向いています。村山瓦では棟の積み直しや壁際ののし瓦の補修などでも、屋根の状態に合わせて南蛮漆喰を使っています。
なぜ軒瓦と袖瓦の取り合いに隙間ができるのか
ここからは少し専門的なお話です。瓦屋根は、平らな面に使う桟瓦のほかに、場所ごとに形の違う「役物(やくもの)瓦」を組み合わせてつくられています。
| 瓦の名称 | 使われる場所 | 役割 |
|---|---|---|
| 軒瓦 | 屋根のいちばん下(軒先) | 雨水を雨樋へ流し、軒先を納める |
| 袖瓦 | 屋根の妻側の端(ケラバ) | L字の形で破風を覆い、横からの雨風を防ぐ |
| 桟瓦 | 屋根の平らな面 | 屋根面の大部分を覆う |
軒瓦と袖瓦は、それぞれ違う方向の雨風に対応するために形がまったく違います。この二つが出会う角の部分は、形の違う瓦を合わせるため、どうしても段差や隙間が生まれやすいのです。さらに、次のような要因で隙間が広がることもあります。
- 新築時に詰めた漆喰や葺き土が、長年の雨風で痩せてしまった
- 地震や台風の揺れで、瓦がわずかにズレた
- すがる形の屋根は納まりが複雑で、施工時の詰めが不十分だった
瓦自体はとても長持ちする屋根材ですが、瓦をとめている漆喰や葺き土、隙間を埋めている部分はメンテナンスが必要です。瓦が元気でも、その「つなぎ目」から傷んでいくのが瓦屋根の特徴だと覚えておいてください。
放置するとどうなる?小動物が屋根に与える影響
「音がするだけなら、そのうちいなくなるだろう」と様子を見る方もいらっしゃいます。ですが、放っておくと次のようなトラブルにつながることがあります。
巣材が雨水の流れをせき止める
瓦の下に詰め込まれた枯れ草などが、本来流れるはずの雨水をせき止め、下地や野地板に水がしみ込む原因になることがあります。気づいたときには雨漏りになっていた、ということも珍しくありません。
フンや尿による汚れ・においや衛生面の心配
巣のまわりにはフンや尿がたまりやすく、においやシミ、ダニなどの発生につながることがあります。屋根裏の断熱材を巣材にされてしまうケースもあります。
隙間がどんどん広がる
動物が出入りをくり返すうちに、漆喰や葺き土が削られて隙間が大きくなっていきます。小さな隙間のうちにふさげば、部分的な補修で済むことがほとんどです。
※鳥類など野生動物の多くは法律(鳥獣保護管理法)で保護されており、卵やヒナがいる巣は勝手に撤去できない場合があります。ご自身で巣を取り除こうとせず、まずは専門業者へご相談ください。動物の駆除そのものが必要な場合は、専門の駆除業者と連携して対応を検討します。
地上からできるセルフチェック
次のような様子があれば、屋根のどこかに小動物の出入り口があるかもしれません。
- 晴れた日や風のない日にも、屋根や天井裏から物音がする
- 朝方や夕方など、決まった時間帯に音が強くなる
- 軒先や屋根の端に、鳥がよく出入りしている
- 軒下や外壁まわりに、フンや枯れ草が落ちている
- 天井に見覚えのないシミや、においがある
屋根に上がるのは大変危険です。確認は地上から見える範囲にとどめてください。瓦の取り合い部分のように、地上からは見えない場所に原因があることも多いので、気になる症状があれば専門業者の点検を受けるのが安心です。
よくあるご質問
- 雨が降っていないのに屋根から音がするのはなぜですか?
- 瓦の浮きやズレが風で鳴っている場合もありますが、風もない日に「カサカサ」「コトコト」と音がする場合は、小動物が屋根の中に入り込んでいる可能性があります。瓦の取り合い部分や棟の隙間など、侵入口がないか点検をおすすめします。
- 隙間をふさぐだけで小動物は入ってこなくなりますか?
- 巣をしっかり取り除き、侵入口を南蛮漆喰などでふさげば、同じ場所からの再侵入は防げます。ただし、ほかにも隙間がある場合はそこから入ることもあるため、屋根全体の点検をあわせて行うことが大切です。
- 自分でコーキングなどで隙間をふさいでもいいですか?
- 瓦の隙間には、雨水を逃がすためにあえて空けている場所もあります。やみくもにふさぐと、かえって雨漏りの原因になることがあります。ふさいでいい隙間かどうかの判断は、屋根の専門業者にお任せください。
- 点検や見積もりに費用はかかりますか?
- 村山瓦では屋根の点検を無料で行っています。状態をご説明したうえで、必要な場合のみお見積もりをご提示します。
まとめ・無料点検のご案内
今回の高知市の現場では、切妻屋根のすがる部分、軒瓦と袖瓦の取り合いにできた隙間から小動物が入り込み、巣をつくっていたことが物音の原因でした。巣を撤去し、雨水に強い南蛮漆喰で侵入口をふさぐことで、音の悩みを解消できました。
瓦は長持ちする屋根材ですが、瓦と瓦の「つなぎ目」は年月とともに傷んでいきます。「雨でもないのに音がする」は、屋根からの小さなサインかもしれません。早めに原因を見つければ、小さな補修で済むことがほとんどです。
村山瓦は、高知で創業70年以上、屋根一筋でやってきた屋根工事の専門店です。瓦屋根診断技士の資格を持つ職人が、屋根の状態を見たうえで、その屋根に合った方法をご提案します。
屋根の物音・瓦の隙間が気になる方へ
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