土佐市で発生した雨漏り、原因は高知県産瓦の"凍害"だった
- 屋根リフォームの基礎知識
土佐市で発生した雨漏り、原因は高知県産瓦の"凍害"だった|葺き替えとの違いと差し替え工事という選択肢
こんにちは。高知市で屋根工事を専門にしている村山瓦です。
今日は土佐市のお客様から「雨漏りしているので見てもらいたい」というご連絡をいただき、現場に伺ってきました。実際に屋根に上がって調査してみると、原因は単なる経年劣化だけではなく、瓦そのものが起こす「凍害(とうがい)」という現象が関係していました。
今回は、この現場で見えてきたことをもとに、高知のような温暖なエリアでも起こりうる瓦の凍害の仕組みと、予算に応じた修理方法の選び方について、現場に出ている職人の視点でお伝えします。
土佐市での現場調査:雨漏りの相談から分かったこと
今回ご連絡をいただいたのは、土佐市にお住まいのお客様でした。「天井にシミができてきた」「雨の日に音がする気がする」というお話で、屋根に上がらせていただくことになりました。
現地に着いてまず目についたのは、瓦の表面が部分的に薄く剥がれ、細かく砕けたような状態になっている箇所でした。一見すると強風で何かがぶつかったようにも見えますが、周辺に飛来物の跡はなく、剥がれ方にも独特の特徴があります。長年多くの屋根を見てきた経験から、これは経年劣化に加えて「凍害」が起きているサインだとすぐに分かりました。
さらに詳しく調べると、使用されていたのは高知県産の瓦で、施工から相当な年数が経過していることも確認できました。瓦自体は非常に耐久性の高い建材ですが、年数の経過とともに吸水しやすくなり、そこに冬場の冷え込みが重なることで、今回のような症状につながっていたのです。

高知県産の瓦に起きていた「凍害」とは
「凍害」と聞くと、雪国など寒冷地特有の現象だと思われる方が多いのですが、実は高知県内でも決して珍しい話ではありません。
瓦は粘土を高温で焼き締めた陶器の一種で、内部にはごく小さな気泡状の隙間があります。そこに雨水や夜露が長年少しずつ染み込み、真冬の冷え込みで気温が氷点下近くまで下がった際、瓦内部に含まれた水分が凍結して体積が膨張します。この膨張する力が瓦の内側から表面を押し出すようにかかり、表面の剥離やひび割れを引き起こすのが凍害のメカニズムです。
水は凍ると体積がおよそ9%ほど増えると言われており、一見するとわずかな変化に思えますが、この凍結と融解を毎年繰り返すことで、硬い瓦であっても少しずつダメージが蓄積されていきます。表面が薄く欠けて赤茶色の断面(瓦の基材部分)が見えている、あるいは屋根の下や雨どいに瓦の破片が落ちている、といった状態が見られたら、凍害が進行しているサインです。
温暖な高知でも凍害が起こる理由
「高知は温暖なイメージだから凍害なんて関係ない」と思われがちですが、実際の現場ではそう単純ではありません。
- 山間部や川沿い・日陰になる立地では、平野部より気温が下がりやすく、瓦が凍結しやすい環境になります。
- 築年数の経過により瓦や漆喰の防水性が落ちていると、瓦が水分を含みやすくなり、凍害のリスクが上がります。
- 瓦の産地や種類によって吸水率が異なり、吸水率の高い瓦ほど凍害の影響を受けやすい傾向があります。反対に、石州瓦のように焼成温度が高く水を吸いにくい瓦は、比較的凍害に強いとされています。
今回のように県産の瓦を使い、年数が経過した屋根では、こうした条件がいくつか重なっていることが多く、「温暖なエリアだから大丈夫」と油断せず、定期的な点検を行うことが大切だと現場を通じて感じています。
葺き替えと差し替え工事、何が違うのか
瓦の凍害が見つかった場合、修理方法としては大きく分けて「葺き替え工事」と「差し替え工事」の2つの選択肢があります。
| 工事内容 | 葺き替え工事 | 差し替え工事 |
|---|---|---|
| 施工範囲 | 屋根全体の瓦・下地(防水紙など)を新しくする | 破損している瓦のみを新しい瓦に交換する |
| 費用感 | 高め(屋根全体の工事となるため) | 比較的抑えやすい(部分工事のため) |
| 耐久性・根本改善度 | 下地から新しくなるため長期的に安心 | 表面上の破損は解消するが、下地の劣化までは改善しない |
| 向いているケース | 凍害・劣化が屋根全体に広がっている場合 | 破損箇所が限定的で、予算を優先したい場合 |
本来、瓦の裏側まで凍害が進んでいたり、劣化が屋根全体に広がっているケースでは、下地から作り直す「葺き替え工事」をおすすめすることがほとんどです。一時的に破損箇所だけを直しても、内部の劣化が進んでいれば数年後に同じ症状が別の場所で再発する可能性があるためです。
今回、差し替え工事をご提案した理由
今回の土佐市の現場でも、本来であれば屋根全体の葺き替え工事をご提案したいところでした。しかし、お客様からご予算のご事情をお伺いし、まずは雨漏りしている箇所とその周辺の破損した瓦を新しいものに交換する「差し替え工事」をご提案させていただきました。
差し替え工事は、葺き替えに比べて費用を抑えながら、今起きている雨漏りを止めるという点では有効な手段です。ただし、下地や周辺の瓦にも劣化が進んでいる可能性はゼロではないため、施工後も定期的に点検を行い、状態を見ながら次のメンテナンス時期を一緒に考えていくことが大切だとお客様にもお伝えしました。
ご予算やお住まいの状況は一軒一軒違います。だからこそ私たちは、「とりあえず一番いい工事を勧める」のではなく、現地調査で見えた劣化の状態とお客様のご希望をすり合わせながら、無理のない工事方法をご提案するようにしています。
まとめ:気になる症状は早めの点検を
今回は、土佐市での雨漏り現場を例に、高知県産瓦に起きていた凍害の仕組みと、葺き替え・差し替え工事の違いについてお伝えしました。
- 瓦の表面が薄く剥がれている、破片が落ちているのは凍害のサインかもしれません
- 高知のような温暖なエリアでも、山間部や日陰、築年数の経過した屋根では凍害が起こり得ます
- 本来は葺き替えが望ましいケースでも、ご予算に応じて差し替え工事という選択肢もあります
「うちの屋根も瓦が欠けている気がする」「雨漏りしているかもしれない」といった心当たりがある方は、放置せず一度点検を受けることをおすすめします。屋根の上は高所で危険ですので、ご自身での確認は無理をせず、専門業者にご相談ください。
屋根の雨漏り・瓦の破損など、気になる症状がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。
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