丸瓦が外れているというご相談
- 代表村山の現場ブログ
高知市で丸瓦が外れかけていた現場から見えた、棟の劣化サインと積み替え工事の重要性
現場での出来事|高知市でいただいた「丸瓦が外れている」というご相談
先日、高知市のお客様より「屋根の丸瓦が外れているみたいなので見てほしい」というご相談をいただきました。ご自宅の周りを歩いていて、屋根の一番高い部分(棟)にある丸い瓦が、明らかに本来の位置からズレて見えたとのことです。
実際に現場に伺って屋根を見上げてみると、たしかに丸瓦が斜めに浮いた状態になっており、少しの振動や強風でも落下しかねない、かなり際どい状態でした。屋根の上の異変は地上から気づきにくいものですが、今回はお客様がよく観察してくださっていたおかげで、大事に至る前にご連絡をいただくことができました。日頃から現場を回っていると、こうした「なんとなく違和感がある」という段階でのご相談が、結果的に工事の規模を小さく抑えることにつながるケースを何度も経験しています。
調査でわかったこと|セメント系平板瓦と赤土の流出
脚立と点検道具を使って屋根に上がり、実際に丸瓦を手で触って確認したところ、屋根材はセメント系の平板瓦であることがわかりました。和形の瓦屋根とは違い、平板瓦の棟は比較的シンプルな構造をしていますが、それでも棟の中には土台となる「葺き土(ふきつち)」や、近年では乾式の下地材が使われています。
今回の現場では、丸瓦がすでに屋根本体から外れてしまっており、その下に本来あるはずの赤土(葺き土)が、長年の雨水にさらされ続けたことで流れ出てしまっている状態でした。土がやせて量が減ってしまうと、瓦を支える力そのものが失われるため、丸瓦がぐらついたり浮いたりするのは、いわば当然の結果だといえます。見た目には「瓦が1本ズレているだけ」に見えても、内部ではこうした土台の劣化が進行していることが少なくありません。

なぜ丸瓦は外れ、下地の赤土が流されてしまうのか
棟の丸瓦や葺き土がダメージを受ける背景には、いくつかの要因が重なっています。現場感覚と専門知識の両方から整理してみます。
1. 経年による赤土の劣化
以前は棟の側面は、赤土で雨水の侵入を防ぐ構造になっています。しかしこれらの材料は紫外線や風雨にさらされ続けることで、数十年単位で徐々にひび割れや剥離を起こします。一度隙間ができると、そこから雨水が侵入し、内部の葺き土に水分がたまりやすくなります。
2. 葺き土の乾湿の繰り返しによる「やせ」
葺き土は雨のたびに水分を含み、晴れの日に乾燥するというサイクルを繰り返します。この乾湿の反復が長年続くと、土の体積がわずかずつ減っていく「やせ」という現象が起こります。土がやせると瓦との間にすき間が生まれ、瓦を固定する力が弱くなっていきます。
3. 固定方法そのものが古い工法だった可能性
昔ながらの湿式工法では、瓦は土や漆喰の接着力・重量だけで固定されているケースが多く見られます。針金や釘で補強されていても、経年劣化によって緊結線が緩んだり切れたりすることがあり、そうなると丸瓦を留めておく力はほぼ土だけに頼ることになります。土がやせてしまえば、瓦が動いたり外れたりするのは時間の問題です。
4. 台風や強風による物理的な負荷
高知県は台風の通り道になりやすい地域です。強い風が棟に吹き付けると、すでに固定力の落ちている丸瓦は少しずつ位置がずれ、最終的には完全に外れてしまうこともあります。今回の現場も、こうした要因が長い年月をかけて積み重なった結果だと考えられます。
そのまま放置するとどうなるか
- 丸瓦の落下:歩行者や車、隣家への被害につながる危険があります。
- 雨漏りの発生:丸瓦が外れた部分から雨水が直接侵入し、野地板や垂木といった木部を腐食させる原因になります。
- 棟全体の崩れ:土台の劣化が進むと、丸瓦だけでなく棟全体のバランスが崩れ、大規模な積み替え工事が必要になるケースもあります。
- 修理費用の増加:早期であれば部分的な補修で済んだものが、放置期間が長くなるほど下地からのやり直しが必要になり、費用も工期も膨らみやすくなります。
屋根の異変は「小さいうちに見つけて、小さい工事で終わらせる」のが、結果的にお客様の負担を最小限に抑えるいちばんの近道です。
現在主流の「棟金具+ビス留め」工法とは
今回のような丸瓦の脱落やその原因である葺き土の劣化に対しては、「棟の積み替え工事」がもっとも根本的な対策になります。積み替え工事では、劣化した棟瓦をいったん撤去し、内部の状態を確認したうえで、下地から作り直します。
近年の主流となっているのが、棟金具を使って丸瓦をビスでしっかりと固定する工法です。従来の湿式工法のように土や漆喰の接着力だけに頼るのではなく、金具とビスによる機械的な固定力を加えることで、地震や台風といった外力に対する耐久性を大きく高めることができます。乾式に近い構造にすることで、内部に水分がこもりにくくなり、葺き土のやせや漆喰の劣化といった問題そのものを起こりにくくする効果も期待できます。
もちろん、瓦の種類や屋根の形状によって最適な工法は異なります。セメント系の平板瓦、和形の瓦、それぞれで下地の作り方や金具の取り付け方が変わってくるため、現地でしっかりと状態を見極めたうえでの提案が欠かせません。
ご自宅でできる簡単セルフチェック
屋根の上に登っての確認は転落の危険があるため絶対に避けていただきたいのですが、地上からでも確認できるポイントはいくつかあります。
- 棟の瓦が波打って見える、または一部が斜めにズレている
- 棟のまわりに雑草やコケが生えている
- 漆喰やシーリング材が剥がれている、黒ずみや欠けがある
- 強風や台風のあとに、屋根の見た目が変わった気がする
- 天井付近から小さな異音やきしみが聞こえるようになった
こうしたサインに一つでも心当たりがあれば、早めの点検をおすすめします。ご自身での判断が難しい場合は、無理をせずご相談ください。
今回の現場でご提案した内容
今回のお客様には、まず棟の積み替え工事が必要な状態であることを、写真と現地の状況を見ていただきながらご説明しました。そのうえで、棟金具を使いビスで丸瓦を固定する工法をご提案し、次に同じようなトラブルが起こりにくい、長く安心していただける屋根に仕上げることをお伝えしています。
「見えない部分だからこそ、しっかり説明してほしい」というお声を現場でよくいただきます。私たちも、調査の段階で撮影した写真をお見せしながら、なぜその工事が必要なのか、どのような工法でどう改善されるのかを、専門用語だけに頼らずお伝えするよう心がけています。
まとめ
丸瓦の外れや棟のズレは、多くの場合、内部の葺き土の劣化という目に見えない部分の問題が原因になっています。放置すると雨漏りや棟全体の崩れにつながる可能性があるため、「瓦が少し浮いている気がする」「棟に草が生えている」といった段階での早めの点検が、結果的に工事の規模と費用を抑えることにつながります。
現在は棟金具とビスを使った固定方法が主流になっており、以前の湿式工法に比べて耐久性の高い棟に仕上げることが可能です。ご自宅の屋根が築20年、30年を超えている場合は、一度専門業者による点検を受けてみることをおすすめします。
屋根の点検・お見積もりについて
「うちの屋根の棟も同じような状態かもしれない」「瓦が浮いているように見える」など、気になる点がございましたら、お気軽にご相談ください。現地調査のうえ、状態に合わせた工事内容をご提案いたします。
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