いぶし瓦の家に落ちていたセメント瓦の破片が意味すること
- 代表村山の現場ブログ
南国市で見つかった桟瓦の割れ|いぶし瓦の家に落ちていたセメント瓦の破片が意味すること
目次
南国市から「瓦が割れている」とご連絡をいただきました
今日は南国市のお客様から「屋根の瓦が割れているみたいなので見てほしい」というご相談をいただき、現場に向かいました。 ご自宅の前に立って屋根を見上げると、パッと見ただけでは分かりにくいのですが、こういうご相談は決して珍しいものではありません。 瓦は普段あまり気にされることがない部材ですが、実際に割れや欠けが起きると「いつから?」「原因は?」「これは危ないのか?」と、ご不安になる方がほとんどです。
今回のお宅は、高知県内でも古くからよく見られるいぶし瓦で葺かれた住宅でした。まずは現場でどのような状態だったのか、順を追ってご紹介します。
現地調査で分かったこと(壁際の桟瓦が割れていた)
屋根に上がって確認すると、割れていたのは壁際に納まっている桟瓦(さんがわら)でした。 壁と屋根が取り合う部分は、雨水の流れが集中したり、風の巻き込みが起きやすかったりと、実は平場(屋根の中央あたり)に比べて負担がかかりやすい箇所です。 今回もまさにそうした場所での破損でした。
割れ方を見ると、経年による細かなヒビというよりは、何かがぶつかったような割れ方に見えました。周囲を見渡すと、屋根の上や庭先に、このお宅の瓦とは明らかに異なる素材の破片が散らばっていることに気づきました。

なぜ、いぶし瓦のお宅にセメント瓦の破片が?
このお宅はいぶし瓦(粘土を焼いて燻すことで、あの独特の銀色に仕上げる和瓦)で葺かれています。 ところが、周辺に散らばっていたのはセメント瓦の破片でした。ご自宅の瓦とは色も質感も違うため、すぐに「よそから飛んできたもの」だと分かりました。
お客様にお話をうかがったところ、以前の台風で近隣からセメント瓦が飛んできたのではないか、というお話がありました。ただし、はっきりと目撃されたわけではないため、真偽のほどは分かりません。とはいえ、現場の状況としては十分に考えられる話です。
台風などの強風時には、屋根材そのものだけでなく、隙間から入り込む風の圧力によって瓦が押し上げられ、飛散することがあります。飛散したセメント瓦の破片が、隣接する住宅の屋根に落下して桟瓦を割ってしまう、というのは現場では実際によくあるパターンです。特にセメント瓦は経年で水分を吸いやすくなり、もろくなっている場合が多いため、強風時に破損・飛散しやすい傾向があります。
予備の瓦があったので、その場で交換しました
幸い、このお宅には葺き替え時の予備瓦が保管されていました。同じ形状・同じ色合いの瓦がすぐに用意できたため、その日のうちに割れた桟瓦を交換し、応急処置ではなく本格的な差し替えとして仕上げることができました。
瓦屋根のメンテナンスでは、こうした「予備瓦のストック」があるかないかで、対応スピードが大きく変わります。同一ロットの瓦が手元にない場合、色味や形状が合う代替品を探すところから始めなければならず、時間も費用もかかってしまうことがあります。今回はお客様がきちんと予備を保管されていたおかげで、スムーズに解決できました。

そもそも「桟瓦」とは?壁際が割れやすい理由
桟瓦とは、屋根の平場(面積の大部分を占める部分)に使われる、波型の一般的な瓦のことです。屋根に取り付けられた瓦桟(横木)に引っかけながら葺いていくのが基本的な工法で、瓦同士が重なり合うことで雨水を下へ流す役割を担っています。
壁際やのぼり部分に納まる桟瓦は、次のような理由で他の場所よりも負担がかかりやすい箇所です。
- 壁を伝った雨水が集中しやすく、水はけの影響を受けやすい
- 建物の角にあたる部分は風の巻き込みが強くなりやすい
- 隣接する壁との取り合いで、瓦の形状を調整するために欠き込み加工がされているケースがあり、強度が落ちやすい
そのため、壁際は台風後の点検で真っ先にチェックしたい箇所のひとつです。
いぶし瓦とセメント瓦、割れやすさの違い
今回の現場のように、いぶし瓦とセメント瓦が混在して話題に上るケースは意外と多いので、簡単に違いを整理しておきます。
いぶし瓦(粘土瓦)
粘土を高温で焼き上げたあと、燻して炭素の膜を表面に作ることで独特の銀色に仕上げる和瓦です。焼き物のため吸水率が低く、正しく施工されていれば数十年単位で使い続けられる耐久性を持っています。ただし焼き物である以上、強い衝撃が加わると割れてしまう点は他の瓦と同様です。
セメント瓦
セメントと砂を主原料として成形した瓦で、昭和後期に普及した屋根材です。塗装によって色や防水性を持たせているため、塗膜が劣化すると素材そのものが雨水を吸いやすくなり、内部からもろくなっていきます。この状態で強風や飛来物の衝撃を受けると、割れたり欠けたりしやすくなるのが特徴です。近年では新規に使われることは少なくなりましたが、既存の住宅にはまだ多く残っています。
今回のように、セメント瓦の破片が別の屋根に飛来して被害を及ぼすことがあるという点は、あまり知られていない事実かもしれません。ご近所同士の屋根の状態も、実は無関係ではないのです。
瓦の割れを放置するとどうなるか
瓦が1枚割れただけでも、決して軽く見てよいものではありません。瓦の下には防水紙(ルーフィング)が敷かれていますが、これは瓦に守られていることを前提とした薄いシート状の建材です。瓦が割れて防水紙が直接、日射や雨風にさらされる状態が続くと、防水紙自体の劣化が早まり、やがて雨漏りへとつながります。
特に台風シーズンや梅雨時期は、割れた箇所から一気に雨水が入り込みやすくなります。「1枚くらい大丈夫だろう」と放置してしまうと、下地の腐食や、隣接する瓦のズレを引き起こし、修理の規模が大きくなってしまうこともあります。早期発見・早期対応が、結果的に費用を抑えることにもつながります。
ご自宅でもできる地上からのセルフチェック
屋根に上るのは大変危険ですので、絶対におやめください。ここでは、地上や庭先から確認できる範囲のチェックポイントをご紹介します。
- 庭や周辺に、屋根材のものと思われる破片が落ちていないか
- 屋根を見上げたときに、色や形が明らかに違う瓦が混ざっていないか
- 瓦が波打って見える、一部が浮いているように見える箇所がないか
- 台風や強風のあと、以前と見た目の印象が変わったと感じる部分がないか
- 雨どいの中に、瓦の破片や土のようなものが溜まっていないか
気になる点があれば、無理をせず専門業者による点検をご検討ください。
まとめ
今回の南国市の現場は、壁際の桟瓦の割れという一見小さなトラブルでしたが、周囲に散らばっていたセメント瓦の破片から、過去の台風の影響がうかがえる興味深いケースでした。瓦屋根は「一枚一枚は小さな部材」であっても、屋根全体・さらにはご近所を含めた広い視点で状態を見ていく必要があると、改めて感じた一日でした。
幸い予備瓦があったため即日での交換が叶いましたが、予備がない場合は色や形状の調達から始まることもあります。日頃からの点検と、割れに気づいた際の早めのご相談が、屋根を長持ちさせる一番のポイントです。
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村山瓦は高知市を中心に創業70年以上、地域密着で屋根工事に携わってきました。瓦屋根診断技士をはじめとした専門資格を持つ職人が、調査から提案・施工・アフターフォローまで一貫して対応いたします。
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