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棟瓦の漆喰のはずれ

  • 代表村山の現場ブログ

【南国市】棟瓦の漆喰が剥がれていた現場から。のし瓦の奥に隠れた"見えない劣化"とメンド瓦・南蛮漆喰による補修提案

南国市での現場調査中、棟瓦(むねがわら)の漆喰が剥がれかけているお宅に出会いました。パッと見は「漆喰が剥がれているだけ」に見えるのですが、実際にのし瓦を確認してみると、表面から見えないところに深刻な劣化が隠れていました。今回はその現場での気づきと、専門的な視点からの補修方法についてお話しします。

南国市の現場で見つけた棟瓦漆喰の異変

先日、南国市のお宅で屋根の調査をさせていただいた際、棟瓦の漆喰(しっくい)が一部はずれかけているのを見つけました。地上から見上げただけでも、棟の白い漆喰が黒ずんで欠けている箇所があり、素人目にも「あ、ここ傷んでいるな」と分かるレベルでした。

屋根の現場に出ていると、こうした漆喰の劣化自体はそれほど珍しいものではありません。ただ、今回少し気になったのは、剥がれ方が単なる経年劣化にしては不自然だったことです。表面だけの問題なのか、それとも内部まで及んでいるのか。ここは実際にのし瓦を外して中を確認してみないと判断がつきません。

のし瓦をめくって分かった「奥30mmの施工不良」

実際にのし瓦を一段めくって調査したところ、原因が見えてきました。本来であれば漆喰は、のし瓦の外面(見えている部分)から内部の葺き土までしっかり詰められている必要があります。ところが今回の現場では、のし瓦の外面から奥へ約30mmほど、漆喰がまったく施工されていない空洞になっていました。

見た目には「漆喰が塗ってある」ように見えても、実際は表面のごく一部だけで、奥の方は詰められていない状態です。これは新築時、あるいは過去のメンテナンス時の施工の粗さが原因と考えられます。手を抜いたというより、奥まで詰めるのは職人の技量と手間がかなり必要な作業なので、丁寧に仕上げられていなかったのだと思います。

この「奥まで詰まっていない漆喰」が、時間をかけてじわじわと悪さをしていました。

漆喰が途切れるとなぜ棟が傷むのか(メカニズム)

棟瓦は、のし瓦を何段か積み重ね、その内部に葺き土(ふきつち/赤土)を詰めて固定する構造になっています。漆喰はこの葺き土が雨風で流れ出ないよう蓋をする役目と、雨水の浸入を防ぐ役目の2つを担っています。

今回のように漆喰の内部に施工の隙間があると、そこが雨水の通り道になります。長い年月をかけて雨水が奥まで浸み込み続けた結果、今回の現場では次のような状態になっていました。

  • 漆喰の奥と赤土の間に隙間ができ、縁が切れている状態
  • 本来しっとりと締まっているはずの赤土が、水分の出入りを繰り返したことでボサボサに劣化
  • 赤土の保持力が落ち、のし瓦のズレや棟の変形につながりやすい状態

屋根の現場では「漆喰が剥がれている=表面の問題」と思われがちですが、実際は内部の赤土がどこまで傷んでいるかが補修方法を左右する重要なポイントになります。今回のようにボサボサ状態まで進行していると、上から漆喰を塗り直すだけでは根本的な解決になりません。

今回ご提案した補修方法:メンド瓦+南蛮漆喰

調査の結果を踏まえ、今回のお宅には以下の補修方法をご提案しました。

  1. 劣化した赤土の入れ替え:ボサボサになっている葺き土を取り除き、健全な状態に整える
  2. メンド瓦の設置:漆喰部分にメンド瓦(面戸瓦)を組み込み、のし瓦と棟瓦の隙間をしっかりふさぐ
  3. 南蛮漆喰での仕上げ:一般的な漆喰ではなく、防水性・耐久性に優れた南蛮漆喰で施工

特に今回のように「奥まで漆喰が詰まっていない」施工不良が原因の場合、同じ材料・同じ工法で塗り直しても再発するリスクがあります。メンド瓦を入れて隙間の構造そのものを変え、そこに耐久性の高い南蛮漆喰を使うことで、雨水の侵入経路を根本から絶つことができると判断しました。

漆喰と南蛮漆喰、何が違うのか

ここで少し専門的な話をします。「漆喰」と「南蛮漆喰」はどちらも棟瓦の固定・防水に使われる材料ですが、性質が異なります。

項目 漆喰(一般的なしっくい) 南蛮漆喰
主成分 消石灰が主体 シリコンなどの防水性樹脂を配合
防水性 経年劣化で吸水しやすい 撥水性が高く雨水を通しにくい
耐久性の目安 15〜20年程度で劣化しやすい 漆喰より長期間の耐久が期待できる
用途 伝統的な棟の仕上げ材 棟の取り直し・積み直し時の主流材料

瓦そのものは数十年単位で長持ちする素材ですが、それを支える漆喰は瓦より先に傷みやすい部分です。近年の棟の積み直し工事では、耐久性を重視して南蛮漆喰を使うケースが増えています。当社でも、棟の状態や葺き土の傷み具合を見ながら、南蛮漆喰を使った施工をご提案することが多くなっています。

棟瓦の漆喰、メンテナンスの目安と地上からのセルフチェック

今回のような「奥だけ空洞になっている」劣化は、屋根に上がって直接触らないと発見しにくいものです。ただ、ある程度は地上からでも異変に気づくことができます。ご自宅の屋根を見上げる際は、以下のポイントをチェックしてみてください。

  • 棟の漆喰部分が黒ずんでいる、欠けている
  • のし瓦が波打って見える、一部が浮いているように見える
  • 棟のあたりに雑草やコケが生えている
  • 台風や強風のあとに屋根の見た目が変わった気がする

※屋根に上がっての確認は大変危険です。あくまで地上から見える範囲にとどめてください。

漆喰は瓦本体に比べて劣化が早く、一般的には施工から15〜20年程度で傷みが目立ち始めると言われています。特に今回の南国市の現場のように、施工時の状態によってはそれより早く不具合が出ることもあります。「まだ大丈夫だろう」と放置せず、気になる症状があれば早めに点検を受けることをおすすめします。

まとめ|「漆喰が剥がれているだけ」で判断しないこと

今回の南国市の現場では、表面上は「漆喰が少し剥がれている」程度に見えても、実際にのし瓦をめくってみると、施工時の奥まで漆喰が届いていない不具合と、それによる赤土の劣化が進行していました。屋根は下から見ただけでは分からない部分が多く、現場で実際に手を入れて初めて分かることがたくさんあります。

棟瓦の漆喰の状態は、放置期間が長くなるほど内部の傷みが進み、補修範囲も大きくなりがちです。「まだ雨漏りはしていないから」と様子を見ている間に、葺き土の流出や棟のズレへとつながるケースも少なくありません。気になる症状がありましたら、早めの現地調査をおすすめします。

棟瓦の漆喰の状態、気になりませんか?

高知市・南国市周辺で棟瓦や漆喰の劣化が気になる方は、お気軽にご相談ください。現地調査のうえ、今回のような施工不良や内部の傷み具合まで丁寧に確認し、最適な補修方法をご提案いたします。

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