棟瓦の浮きを発見
- 屋根リフォームの基礎知識
南国市で棟瓦の浮きを発見。赤土施工が招いた劣化と、南蛮漆喰による積替え工事のご提案
こんにちは、村山瓦です。今日は南国市のお客様から「棟(むね)を一度見てもらいたい」とご連絡をいただき、現場調査に伺ってきました。屋根に上がってみると、棟瓦同士に浮きが見つかり、原因を探っていくと赤土施工と長年の雨水が関係していることが分かりました。今回は、その現場でのやり取りを振り返りながら、棟が浮くとどうなるのか、なぜ南蛮漆喰での積替えをおすすめしたのかを、現場目線でお伝えします。
南国市での現場調査/「棟を見てほしい」というご相談
先日、南国市にお住まいのお客様から「屋根の棟が気になるので一度見てほしい」というお問い合わせをいただきました。詳しくお話をうかがうと、強い風が吹いた日に屋根の上でカタカタと音がしたとのことで、ご自身でも心配になって地上から見上げてみたところ、棟の瓦が少し波打っているように見えたそうです。
実は、こうした「音がした」「なんとなく見た目が変わった気がする」という些細な違和感は、棟のトラブルの初期サインであることが多く、私たち職人からすると非常にありがたい情報です。屋根は普段の生活の中で目にする機会が少ない場所だからこそ、こうした小さな異変に気づいて連絡をいただけると、大きな被害になる前に手を打つことができます。
お客様の声(現場でのやり取りより)
「まさか瓦がズレているとは思わなかった。強風の後に音がしたのが気になっていたので、早めに見てもらえて安心しました。」
南国市は高知市に隣接するエリアで、私たちも普段からよくお伺いする地域です。海からの風や台風の通り道になりやすい地形的な特徴もあり、屋根、特に一番風の影響を受けやすい「棟」の劣化には日頃から注意が必要なエリアだと感じています。
調査で見つかった瓦同士の浮き
現地に到着し、実際に屋根に上がって棟の状態を確認させていただきました。目視だけでなく、瓦を一枚一枚手で触って動きを確認していくと、案の定、棟瓦同士が本来あるべき密着状態ではなく、わずかに浮いている箇所が複数見つかりました。
棟瓦というのは、屋根の頂点部分に積み上げられている瓦のことで、屋根全体の中でも最も雨風の影響を受けやすい部位です。ここが正常な状態であれば、瓦同士がしっかりと固定され、雨水が内部に侵入しない構造になっています。しかし今回の現場では、瓦を軽く押すとカタッと動くほど接着力が失われており、素人目にも「これは危ないな」と分かるレベルの浮きでした。
現場でのチェックポイント
棟瓦を軽く押した際に動きがある/瓦同士の隙間から下地の土が見える/瓦の並びが波打っている——これらは棟の内部劣化が進んでいるサインです。
お客様には、実際に浮いている箇所を写真でお見せしながら「ここがこれくらい動いてしまっている状態です」とご説明しました。屋根の上のことは普段見えないだけに、写真で状態を共有すると「そんなに悪くなっていたんですね」と驚かれることがほとんどです。私たちとしても、口頭の説明だけでなく、必ず現物・現状を見ていただくことを大切にしています。

原因は赤土施工と長年の雨水浸入
浮きの原因を探るため、棟瓦を少しめくって内部の状態を確認しました。すると、棟の中には「赤土(あかつち)」と呼ばれる粘土質の土が詰められており、これが施工当時の一般的な工法だったことが分かりました。
赤土は、瓦を接着・固定するための下地材として古くから使われてきた材料です。適切な状態であれば粘りがあり、瓦をしっかりと支えてくれるのですが、この赤土には一つ弱点があります。それは「水分を吸うと状態が変化しやすく、乾燥と湿潤を繰り返すことで徐々に接着力が落ちていく」という性質です。
今回の現場では、長年の間に雨水が棟の隙間から少しずつ入り込み、内部の赤土が湿った状態と乾いた状態を繰り返していたと考えられます。その結果、赤土がボロボロと崩れやすい状態になり、瓦をしっかり固定する力が失われていました。これが、瓦同士の浮きという形で表面化していたのです。
プロ目線のポイント
赤土や昔ながらの葺き土(ふきつち)を使った棟は、築30年前後を目安に劣化が進みやすいと言われています。特に、漆喰の塗りが厚すぎたり、施工時の水分調整が不十分だったりすると、内部に水が溜まりやすくなり、劣化のスピードが早まる傾向があります。「棟に雑草が生えてきた」というご相談も、実は同じように内部の土が湿った状態が続いていることのサインであることが多く、根っこは今回の浮きと共通しています。
こうした劣化は、屋根の上に上がって手で触れてみないと分からないことがほとんどです。訪問業者から「棟が危ないですよ」と急に言われて不安になったという声もよく耳にしますが、私たちは必ず実際の状態を写真や動画でお見せしながら、なぜそう判断したのかを一つひとつご説明するようにしています。
浮いた棟を放置するとどうなるか
今回のように瓦同士の接着力が失われた棟をそのまま放置してしまうと、どうなるのでしょうか。現場でお客様にもお伝えした内容を、改めて整理してご紹介します。
| 放置した場合のリスク | 具体的な内容 |
|---|---|
| 強風による瓦の落下 | 接着力を失った瓦は、台風や突風の際に固定されずに滑り落ちる危険があります。棟は屋根の中でも最も高い位置にあるため、落下すると地上の人や物への被害につながる可能性があります。 |
| 雨漏りの発生 | 瓦の隙間が広がることで雨水の侵入経路が増え、内部の木部(野地板・垂木など)まで水が達すると、天井のシミや雨漏りとして表面化します。 |
| 下地の腐食拡大 | 雨水が入り込んだ状態が続くと、瓦だけでなく屋根内部の下地材まで傷み、修理範囲が広がって費用も大きくなりがちです。 |
| 近隣トラブルのリスク | 瓦の落下や破損片の飛散は、隣家への被害につながる可能性もあり、早期の対応が望まれます。 |
今回の現場では幸い、雨漏りとして室内にまで被害が及ぶ前の段階でご相談をいただけました。「音がして気になった」という段階でご連絡いただいたことが、結果的に大きな被害を防ぐことにつながったと感じています。
ご提案した工事:南蛮漆喰での棟の積替え
調査結果をふまえ、お客様には「棟の積替え工事」をご提案しました。今回のように内部の赤土そのものが劣化してしまっているケースでは、表面の漆喰を塗り直すだけでは根本的な解決にならないためです。棟瓦を一度すべて解体し、劣化した赤土や葺き土を撤去したうえで、南蛮漆喰を使って積み直す方法をおすすめしました。
具体的な工事の流れは、おおまかに次のようになります。
- 既存の棟瓦を一枚ずつ丁寧に解体し、内部の状態を確認する
- 劣化した赤土・葺き土を撤去し、下地を整える
- 南蛮漆喰を詰めながら、棟瓦を積み直していく
- 棟の最上部に冠瓦(かんむりがわら)をのせ、銅線などでしっかり固定する
- 仕上げの確認を行い、施工完了
お客様には「一度全部やり直すことになるんですね」と少し驚かれましたが、赤土のように水分の影響を受けやすい材料をそのまま使い続けると、数年後にまた同じ症状が出てしまう可能性が高いこと、そして今のうちに南蛮漆喰へ切り替えておくことで、今後の耐久性が大きく変わってくることをお伝えし、ご納得いただいた上で進めさせていただくことになりました。
そもそも南蛮漆喰とは?赤土・葺き土との違い
ここで少し専門的な話になりますが、「南蛮漆喰」について簡単にご説明します。南蛮漆喰とは、消石灰やセメント、防水材などを配合して作られた、屋根の棟専用の高耐久材料です。従来の赤土や葺き土に比べて、次のような特徴があります。
- 防水性が高い……あらかじめ防水材が練り込まれているため、雨水を吸い込みにくく、赤土のように湿潤・乾燥を繰り返して脆くなる心配が少ない
- 接着力が強い……瓦同士をしっかりと固定できるため、強風による瓦のズレ・落下のリスクを抑えやすい
- 土台と接着剤の役割を一つで兼ねられる……従来工法のように「葺き土+漆喰」という二重構造にしなくてよいため、施工後の剥離トラブルが起きにくい
一方で、赤土や葺き土を使った昔ながらの工法(湿式工法)にも、日本瓦本来の重厚な見た目を活かせるという良さがあります。ただし建物への重量負担や、経年での劣化スピードという点では、南蛮漆喰を使った施工の方が、長期的なメンテナンス性に優れているケースが多いというのが、日々多くの棟を見てきた実感です。
どちらの工法が良いかは、建物の築年数や屋根の形状、瓦の種類によっても変わってきます。私たちは現地調査の際に、屋根の状態や周辺環境を踏まえて、その建物に合った工法をご提案するようにしています。
ご自宅の棟も要チェック!地上から見える危険サイン
「うちの屋根は大丈夫だろうか」と気になった方は、屋根に上がらなくても、地上から見える範囲で簡単にセルフチェックができます。以下のような症状が見られる場合は、一度点検をご検討ください。
- 棟の瓦が波打って見える、一部がズレているように見える
- 棟の漆喰部分が黒ずんでいる、欠けている箇所がある
- 棟に草やコケが生えている
- 強風や台風のあとに、屋根の見た目が変わった気がする
- 注意
屋根の上に自分で上がって確認するのは大変危険です。必ず地上から見える範囲の確認にとどめ、気になる点があれば専門業者に点検を依頼するようにしてください。
まとめ
今回は、南国市での現場調査から見えてきた「棟の浮き」の実例をご紹介しました。原因をたどると、赤土施工と長年の雨水浸入という、屋根では珍しくない組み合わせによるものでした。放置すれば瓦の落下や雨漏りにつながる可能性がある一方、今回のように早めにご相談いただければ、南蛮漆喰による棟の積替えといった根本的な対策を、余裕を持ってご提案することができます。
「うちの棟は大丈夫かな」「強風の後に音が気になった」——そんな些細なことでも構いませんので、気になる点があればお気軽にご相談ください。私たちが実際に屋根に上がり、状態を確認したうえで、正直にご説明させていただきます。
棟の状態、無料で点検いたします
「棟が波打って見える」「強風のあとに音がした」など、気になる症状があればお気軽にご相談ください。
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