地域に合った瓦を
- 代表村山の現場ブログ
瓦が「凍てる」ってどういうこと?嶺北地域の現場調査でわかった、産地選びの落とし穴
こんにちは、高知市の屋根リフォーム専門店「村山瓦」です。
先日、嶺北地域のお客様から「瓦が凍てているようなので見てほしい」というご相談をいただき、現地調査に伺ってきました。実際に屋根に上がってみると、瓦の表面が細かく割れたり欠けたりしている、いわゆる「凍害(とうがい)」の症状が広がっていました。
今回は、この現場でのやり取りを振り返りながら、瓦が凍てる仕組みと、寒暖差の大きい地域での産地選びの注意点、そして今回ご提案した「差し替え工事」について、現場のプロ目線でお伝えします。
嶺北の現場で見た「瓦が凍てる」というご相談
今回お伺いしたのは、高知市中心部から車で山側へ向かった嶺北地域です。高知県内でも嶺北エリアは、平野部の高知市街と比べて朝晩の冷え込みが強く、冬場は霜や氷が張ることも珍しくありません。同じ「高知県」でも、沿岸部と山間部ではまったく気候条件が違うというのは、日々現場を回っている私たちが肌で感じているところです。
お客様からのご相談内容は「瓦がなんとなく荒れてきた気がする、凍てているのではないか」というものでした。実際に屋根に上がって瓦を一枚一枚見ていくと、表面がポロポロと欠けていたり、瓦の一部が薄く剥離するように割れていたりする箇所が、屋根全体に点在している状態でした。触ってみると、劣化が進んでいる瓦は表面がザラつき、指先に細かい欠片が付くようなものもありました。

「凍てる」とはどんな状態?現地でのチェックポイント
瓦が「凍てる」というのは、専門的には「凍害(とうがい)」と呼ばれる劣化現象です。現場で確認する際は、次のようなポイントをチェックしています。
- 瓦の表面が薄く剥がれる、または鱗のように浮いている
- 瓦の角やエッジ部分が欠けている、丸みを帯びて崩れている
- 表面に細かいひび(クラック)が網目状に入っている
- 瓦を指でこすると粉状のものがポロポロと落ちる
- 棟や谷部分など、水が溜まりやすい箇所に劣化が集中している
今回の現場でも、日当たりや風通しが悪く、雪や霜が残りやすい面の瓦に、こうした症状が集中して出ていました。屋根全体を均一に見るのではなく、「水が抜けにくい場所」を重点的にチェックするのが、現場での基本的な進め方です。
なぜ起きた?嶺北の寒暖差と瓦の「産地」の関係
今回の調査でわかったのは、この屋根に使われていたのが愛媛県産の瓦だったということです。愛媛県産の瓦は、比較的温暖な地域で使用頻度の高い瓦として知られています。それ自体が悪いということではなく、素材の特性上「寒暖差が大きく、氷点下まで冷え込む地域」との相性にやや注意が必要なタイプだった、ということです。
凍害が起こる仕組みは、実はそれほど複雑ではありません。瓦にはもともとわずかに水を吸い込む性質(吸水率)があり、雨や霜で瓦の内部に染み込んだ水分が、冷え込みによって氷になります。水は凍ると体積が膨らむ性質があるため、瓦の内部からわずかずつ組織を押し広げる力がかかり、これが繰り返されることで表面の欠けやひび割れにつながっていきます。特別な豪雪地帯でなくても、朝晩に氷が張るくらいの寒暖差がある地域であれば、条件が揃えば凍害は起こり得るというのが実情です。
つまり今回のケースは、「瓦そのものの品質が悪かった」というより、「その土地の気候に対して、瓦の吸水特性がやや不向きだった」という、いわば適材適所のミスマッチが原因だったと考えられます。屋根は同じ「瓦屋根」でも、産地によって焼成温度や吸水率が異なり、向いている地域・向いていない地域があるというのは、現場を長年見てきた私たちだからこそお伝えできるポイントです。
産地によって瓦の得意・不得意は変わります
日本の瓦は大きく分けて、愛知県の三州瓦、島根県の石州瓦、兵庫県の淡路瓦が三大産地と呼ばれ、そのほかにも各地域に根付いた瓦(地瓦)があります。それぞれ土や焼成方法が異なるため、得意な気候条件にも違いがあります。
- 三州瓦(愛知県):日本全国で最も生産量が多く、気候的にも比較的オールマイティに使われている瓦です。
- 石州瓦(島根県):高温でじっくり焼き締めるため吸水率が低く、寒冷地や塩害地域でも使われることが多い、耐寒性に優れたタイプです。
- 淡路瓦(兵庫県):いぶし瓦を得意とし、和風の意匠を重視した屋根に多く採用されています。
今回のように、比較的温暖な地域向けに作られた瓦が山間部の寒暖差の大きい屋根に使われているケースでは、経年とともに凍害のリスクが表面化しやすくなります。新築時やリフォーム時に「見た目や価格」だけでなく、「その土地の気候にその瓦が向いているか」まで考えて選ぶことが、長く安心して暮らせる屋根づくりの隠れたポイントだと、現場に出るたびに感じています。
今回ご提案した「差し替え工事」という選択
今回のお客様には、正直にご状況をお伺いしたところ、「実は家自体をゆくゆく取り壊すことも検討している。ただ、それまでの間は雨漏りだけはどうしても防ぎたい」というご希望でした。こうしたお声は、嶺北のような山間部の空き家予備軍や、住み替えを検討中のご実家などで、実は少なくありません。
このようなケースで屋根全体を大掛かりに葺き替えてしまうと、費用も工期もかかり、お客様のご希望とはミスマッチになってしまいます。そこで今回ご提案したのが「差し替え工事」です。差し替え工事とは、屋根全体をやり替えるのではなく、破損・凍害が進んでいる瓦を一枚単位で見極めて交換し、雨水の侵入経路をピンポイントでふさぐ工事方法です。
「今すぐ雨漏りは止めたいけれど、大きな投資は避けたい」というご事情に寄り添える工法であり、村山瓦では現場の状態とお客様のご意向をすり合わせながら、必要最小限かつ効果的な工事をご提案するようにしています。
差し替え工事のおおまかな流れ
- 現地調査:屋根に上がり、割れ・欠け・ズレなど劣化箇所を一枚ずつ確認します。
- 劣化状況の記録・ご説明:写真をもとに、どの瓦をどう直すべきかをお客様にわかりやすくご説明します。
- 使用瓦の選定:既存の瓦の形状・色に近いものを手配し、可能な範囲で違和感の少ない仕上がりを目指します。
- 差し替え施工:破損した瓦を丁寧に取り外し、新しい瓦や状態の良い瓦に交換します。
- 仕上げ確認:雨水の流れや瓦の噛み合わせを確認し、雨漏りリスクが解消されているかチェックして完了です。
なお、下地の防水紙(ルーフィング)まで傷んでいる場合は、瓦の差し替えだけでは根本解決にならないこともあります。その場合は無理に工事範囲を広げるのではなく、優先順位をつけながら「今できる最善の対策」を一緒に考えるようにしています。
ご自宅でもできる瓦のセルフチェック
ご自宅の瓦が凍害を起こしていないか、地上からでも確認できるポイントがあります。屋根の上に上がるのは大変危険ですので、必ず地上から見える範囲で確認してください。
- 瓦の色にまだら模様や白っぽい粉吹きのような変化が見える
- 屋根の一部だけ瓦の表面がザラついて見える、艶がなくなっている
- 雨どいや軒下に、瓦の欠片のようなものが落ちている
- 大きな寒波のあと、屋根の様子が明らかに変わった気がする
「なんとなく気になる」という段階でも構いません。実際に瓦の産地や状態は、屋根に上がって間近で見てみないとわからないことがほとんどですので、気になる症状があれば、早めの点検をおすすめしています。
まとめ
瓦が「凍てる」現象は、その土地の気候と瓦の産地・特性が合っていないことで進行することがあります。今回の嶺北の現場のように、寒暖差の大きい地域に温暖地向けの瓦が使われているケースは決して珍しくありません。そして、「将来的な建て替えは考えているけれど、今は雨漏りだけを止めたい」というご希望にも、差し替え工事のように費用を抑えながら対応できる方法があります。
村山瓦は高知市を拠点に、創業70年以上・施工実績10,000件以上の実績を積み重ねてきた地域密着の屋根工事専門店です。嶺北エリアを含む高知県内で、瓦の凍害や雨漏りが気になる方は、お気軽にご相談ください。
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